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LGBTへのプロモーション 始める前に知っておきたいこと

スマホゲーム「ポケモンGO」ではキャラを選択する際、「あなたのスタイルを選んでください」と表示する。これが、「性指向への配慮ではないか」と多方面から好評を呼んだ。日本でも、訪日客や海外進出を考えれば、多様性を前提としたコミュニケーションが一般的となるはずだ。

「レインボー(虹色)」は、LGBTと呼ばれるセクシュアル・マイノリティの象徴のひとつ。東京でも、ことし5月、「Tokyo Rainbow Pride 2016」と題した大規模なイベントが行われた。安直に「LGBT向け」とうたうのではなく、まずは知識を得、LGBTに対するスタンスを定めるところから企業活動は始まる。

LGBTを知る・つながる そして創造する

LGBT総合研究所は、博報堂DYホールディングスの社内ベンチャー制度「Ad+Venture」を活用して設立した新会社。LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティ向けマーケティングのシンクタンクとして立ち上がった。

日本企業によるLGBTへのアプローチは、まだ始まったばかり。企業の関心の高さも伺える一方で、まだまだ正しい知識は浸透していないようだ。

「LGBTにアプローチする上で重要なのは、まず『知る/正しい知識を得る』です。企業の現状を見ると、『知る』という点がまだまだ不十分に感じます。先入観で施策を打つと、当事者から強い非難を受ける恐れもあります」と話すのはLGBT総合研究所の森永貴彦社長だ。「次の段階は、『つながる/LGBTにフレンドリーであるか否かを決める』です。知った上で、どう向き合っていくのかを方針として定めるのです。企業の態度には、LGBTの当事者たちはもちろん、非LGBT、いわゆる“ストレート”からの視線も集まります」。

そして3つめは、「創出/LGBTとつくりだす」だ。「知る」「つながる」を経て、ようやくマーケティング領域に入る。「企業として、どんな新たな価値をLGBTとともにつくりあげるか。当事者たちとイベントを立ち上げたり、商品開発をしたり、さまざまなプロモーションのあり方が考えられると思います」。

ひとくくりにできない「LGBT」

LGBTは、L(レズビアン、恋愛対象が同性である女性)、G(ゲイ、恋愛対象が同性である男性)に加え、B(恋愛対象が両性である人)、T(トランスジェンダー、身体的な性と自身の考える性が異なる人)の頭文字だ。「LGBT」と称されはしても、ひとくくりには語れない。L・G・Bについては、身体性と自認する性の不一致はなく、性指向に関わるマイノリティ。結婚や保険といった人生の節目となるタイミングで、ニーズに合ったサービスが求められる。

一方、トランスジェンダー(T)の人々は、心は女性で身体は男性、心は男性で身体は女性、という状況のため、「着たい」と望む服と外見が見合わなかったり、あるいはホルモン投与をしていたりということもある。

「実際問題、LGBTは何か特別なものを用意してほしいというニーズは少ないと思います。ストレートの方々と何も変わらず対応するよう配慮していれば、ブランドに親近感を持ち、リピートしたいと思うはずです。ただ、トランスジェンダーの方については、もう少し売り場などに配慮が必要になります。社会の理解が伴わず、やはり視線には敏感になっていますし、お手洗いなど生活上の不自由もあります」。

さらには世代間での意識差もある。例えば50歳代〜60歳代は、同性愛のことは社会的に認められてないと諦めている人が多い。自身の性指向を抑圧しつつ、同性愛者でも妻や夫を持ち、子どももいるケースは珍しくないようだ。ある種の“隠すべきこと”という意識があり、人に明かすことではないと考えている。

「30歳代にインタビューしてみると、理解を求めたい気持ち半分・諦めている気持ち半分、というところでしょうか。20歳代になると、むしろオープンにしても問題ないと考える人が多いようです。個性の違いのひとつととらえていたり、そもそも自分のセクシュアリティー(性的特質)が定まっていない人もいます」。

若年層が他世代に比べオープンなのはLGBTという言葉自体が、日本でも2007年ごろから使われはじめ …

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