建材も「生活シーン」が重要三協アルミとjekiのタッグ

ジェイアール東日本企画（jeki）はプロモーションの企画設計から制作・実施運営まで一貫して、知見・経験の豊かな社員が細部にまでこだわり抜き、効果の最大化を目指してきた。本連載では、効率化を追求する広告会社が多い一方で、jekiが実現している丁寧で精度の高い「jekiプロモーション品質」を伝えていく。

展示会ブース。安全性の高さも不可欠な要素だ。例えば、来場者が頑強性を確かめようとして、展示物を揺らすことも珍しくはない。「実際の施工さながらの安定性が大事。当社では、構造計算に基づき建て付けの基盤となる専用の補強金物を設計し、安全性を確保しています」（町川氏）。

ブース滞在時間伸び積極的に説明を受ける姿も

消費者に付加価値を感じてもらいたい。さまざまな業種での課題だが、住宅建材業界でも、例外ではない。

持ち家の新築着工数は、1996年の約63万6000戸をピークに減少傾向にある。2015年はその半分以下、28万4000戸だった（国土交通省調べ）。

そこで住宅販売会社や工務店は、売り上げを維持、拡大するため、門扉や塀、車庫など住居周辺の屋外構造物、いわゆる「エクステリア」に視線を集めている。建物に加えて、外構え部分も顧客に提供すれば、一棟あたりの受注額を増やせるからだ。

しかし、一般にエクステリア自体は、まだまだ認知が高いとはいえない状況だ。三協アルミの八島雅信課長は、「エクステリアは暮らしを豊かにする、と知らしめることが業界全体の課題」と話す。

同社はビルや住宅、エクステリアの建材製造を手がける。販売店や工務店が、自分たちの顧客に対して、エクステリアの価値をうまく伝えられれば、それだけセールスにもつながる。エクステリア建材部営業サポート課で、プロモーションを担う八島課長は「新築でもリフォームでも、上質な生活への憧れを喚起したい。我々の分野でも、顧客視点がさらに重要になってきたということ」と語る。結果、三協アルミは、プロユーザー向けの新商品展示会で、エクステリアから得られる心理的価値、「コトの価値」のアピールを重視するようになった。それは2008年から8回にわたり、同展示会の企画運営を担当するジェイアール東日本企画（jeki）が提案し続けてきたことでもある。

三協アルミがエクステリアの魅力を発信することで、業界全体の底上げにもつながるよう、jekiは企画を検討。エンドユーザー（最終消費者）の憧れを具現化する「コト展示」を立案してきた。

例えば4月から6月にかけて全国6都市で実施した今年度の展示会では、ブース内に庭を設け、照明の切り替えで日中や夕方〜夜間を再現する展示などを実施。キャストも入れ、「夏の夕方にアウトドアリビングでお酒を楽しむ」といった生活シーンを伝える工夫を施した。

この展示は来場者からの注目を集め、ブースの滞在時間も従来より長く、担当者の説明を積極的に聞く姿が目立ったという。B to Bメーカーであってもエンドユーザーを意識したjekiの「コト展示」提案が、三協アルミが開発するエクステリアの魅力を打ち出すのにつながった。

展示会では小物も含め30点以上の品目を扱う。「ひとつずつ優先度をつけ、コト展示する商品、スペックを重視する商品を整理し、展示アイデアを考案している」（jekiの町川哲也氏）といい、ここは広告コミュニケーションのプロとしての矜持が伺えるところだ。

「まんべんなく商品を紹介しようとすると、むしろ競合他社の演出に埋もれてしまう。演出のボリューム、バランスを取り、展示内容を引き続き探りたい」と語る八島課長。さらに「建材の展示会は設営のノウハウも重要。限られた時間内で設営・撤去しなければならないが、安心して同社に任せられる」とも。

jekiは展示会での「コト展示訴求」を継続することで、三協アルミの存在感を強め、セールスへの貢献をさらに図る考えだ。