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エキナカを飛び出したマチナカの新しい業態 マーチエキュート神田万世橋

文・川島蓉子

エキナカ業態の先駆けと言えば「エキュート」。JR大宮駅でデビューして大きな話題を呼び、その後、駅や空港、高速のパーキングエリアなど新しいチャネルのきっかけを作った。その「エキュート」がエキナカを飛び出し、マチナカに商業施設を作った。

01 9月14日に開業する「マーチエキュート神田万世橋」完成イメージ。かつて交通の要塞であった旧万世橋に隣接する万世橋高架橋が、新たに常設ショップと期間限定ショップの合計11ショップで構成される商業施設として生まれ変わった。

 

02 耐震補強を行うには、元の構造に約40センチメートルものコンクリートを被せる必要があった。それがまた新たな建物の表情を生んだ。

 

03 マーチエキュートロゴ。ネーミングはコピーライターの李和淑さん、ロゴマークはアートディレクターの佐野研二郎さん、プロデュースはifs未来研究所が手がけた。

 

復原ではなく再生を意図した

新しい施設の名称は「マーチエキュート神田万世橋」(以下 マーチエキュート)。

名前の通り、神田万世橋に9月14日、誕生する。所在地は千代田区神田須田町一丁目。聞いたことがある住所だが、はたしてどこなのだろうと、最初は疑問を抱いた。

行ってみるとJR神田駅、秋葉原駅、御茶ノ水駅から同じくらいの距離の神田川沿いの場所。どの駅からも近いのだが、周辺に大きな商業施設があるエリアではない。だから印象が薄かったのだが、身を置いてみると、江戸っ子が築いた下町的な雰囲気と、隣接する秋葉原の持っている独特なエネルギー、御茶ノ水の学生街の延長にある少しバンカラな感じ――それらが交錯した独特な雰囲気がある。

ここは1912年、中央線のターミナルとして万世橋駅ができた場所。東京駅と同じく辰野金吾氏が建築を手がけた由緒正しい歴史を持つ。43年に駅としての営業を休止し、その後交通博物館として使用していた高架橋を開発した。

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