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シニアの熱狂が市場を動かす。

「どう生きるか」は「どう老いるか」時代とともに速まるシニアトレンドの変化

梅津順江氏(ハルメクホールディングス)

少子高齢化が加速し、日本のボリュームゾーンになったシニア。社会の環境が目まぐるしく変わる中、当該世代はどのように過ごし、どう変わったのだろう。また、今後どのように変わっていくのか。ハルメクホールディングスの生きかた上手研究所長の梅津順江氏が解説する。

社会が外向きに転じた2023年 シニアのデジタル化も進む

年単位では変わりにくかったシニア世代の流行も、Z世代や現役世代ほどではないが、時代の変化のスピードに伴い、速まっている。シニアを取り巻く環境は複雑だ。子育てが終わっても「孫育て」「家族の介護」などのライフイベントが待っていて、60歳を過ぎても引退はなく、社会的役割が継続する。「世代特有の課題や変化」と「社会の現象」とを上手にアレンジしながら、独自のトレンドを形成していく。50歳以上の意識・消費動向を日々洞察しているハルメク生きかた上手研究所は、毎年年末にシニア世代にフォーカスしたトレンドを公表している。

2023年も12月6日に「ハルメク シニアトレンド2023-2024」を発表。2023年の傾向と2024年のトレンドの芽を5つのキーワードにまとめた。2023年は国際情勢が一段と不安定化し、不確実性が高まった。日本経済においては物価高や海外経済の減速などの下押し要因が目立つ。加えて、猛暑日が連日観測されるなど、気候変動が避けられないことを実感した。

しかし、不安、不確実といった負の要素ばかりではなく、明るい兆しが見えた1年でもあった。新型コロナウイルス感染症が5類に移行して、人々が日常に戻り、インバウンド消費が再燃。シニアも例外ではなく、外向きマインドに転じている。お出かけの機会が増え、外食産業や百貨店の復調に寄与した。WBCやラグビーワールドカップ2023など、スポーツイベントの応援を通じて、子や孫とのリアルなコミュニケーションも復活している。現役世代では、「生成AIでDXの推進」への期待が大きい年でもあったが、シニアのデジタル化も加速。2023年はSNSが大幅に普及した。

Instagramの利用率が急伸 シニアトレンド2023-2024

昨今のシニアトレンドのひとつ目は「#インスタグランマ」。当研究所の定点調査ではシニアのSNS利用率が11.9%(2019年)→31.9%(2023年)に【図1】。Instagramの利用率の急伸が、シニア女性のSNS普及を牽引している。いくつになっても輝き続ける50~80代のシニアファッショニスタ、通称「#インスタグランマ」はこだわりのライフスタイルをアップ。今後も全世代の人生の手本として、希望や勇気を与える存在として、SNSを席捲していくことだろう。

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