広告マーケティングの専門メディア

           

シニアの熱狂が市場を動かす。

「デジタルエイジ」へと急激に変化 SNSやメディアを使いこなしつつも、行動には慎重さが目立つ

久住安里氏(Omelette)

コロナ禍を経て、病院予約、EC、子どもや孫とのコミュニケーションなど、インターネットで行う必要がある事柄が増加し、インターネット環境は、年齢に関係なく生活に欠かせない時代となってきた。シニアはSNSやメディアをどのように利用しているのだろうか。シニアマーケティングに詳しいOmelette 執行役員 ライフスタイルマーケターの久住安里氏が、シニアのSNS、メディア活用の動向について解説する。

データ不足のため曖昧なシニア像 DX化によって徐々に明らかに

シニアについて語り合う場面で、各々のシニアの印象が異なっていて、どうにも会話がうまく噛み合わない。巨大な市場としてシニア市場が成長しつつある現在でも、対象となるシニア像が曖昧なままで、戦略設定されるケースが多くある。

この要因としては、マーケティングに必要なデータが乏しかったことがある。M3/F3といった世代分類では50歳以上が一括りになっており、世代別調査においても60歳以上が一括りにされているデータが、まだまだ多く存在している。

これでは、シニア世代の実像は浮かび上がってこない。シニアは5歳刻みでさえ変化が大きい世代であり、60~80代の20年間は大きな変化に満ちている。これまでマスメディアを中心にしたコミュニケーションでは、この変化にきめ細かく対応することができなかったが、シニア世代がデジタルという手段を手にするようになった今、デジタルで解決できることは格段に多くなってきた。そして、デジタルにより親和性の高い層が今後は次々と流入してくる有望市場でもある。この時代の変化とシニア特性を上手に掴み取ることが、今こそ重要だ。

60歳以上の約8割がネットショッピングを利用

近年、シニア層のデジタル行動は大きく変化している。

スマートフォン所有率は、60代93%、70代は79%(NTTドコモモバイル社会研究所/2023年3月)と上昇し、60歳以上の78%がネットショッピングを利用するようになった(総務省2021年「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」)。すでに、シニアは立派なデジタルエイジと言えるだろう。

TikTokやInstagramをシニアは使っていないというイメージはないだろうか。【図1】は、当社独自のアンケートの調査結果である。

60代以上のInstagramの利用率は26.6%、TikTokも12.8%となっており、上昇傾向だ。また動画メディアの利用にも積極的で、シニアの60.6%がYouTubeを、18.1%がTVerを、8.5%がABEMAを利用している。

あと57%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

シニアの熱狂が市場を動かす。 の記事一覧

「フィットネス参加率」が幸福度向上に寄与「chocoZAP」が展開する、シニア層獲得戦略
自己肯定感を高める学習参考書が大ヒット 小学生とシニアのニーズに思わぬ共通点
スキンケアで自己肯定感と幸福度が上昇!?徹底的なデプス調査が奏功、発売2年で総売上40億円突破の「VARON」
「どう生きるか」は「どう老いるか」時代とともに速まるシニアトレンドの変化
「地方部シニア」よりも長寿で長生き?6割を占める「都市部シニア」市場の成長力
「デジタルエイジ」へと急激に変化 SNSやメディアを使いこなしつつも、行動には慎重さが目立つ(この記事です)
「令和シニア」に響く広告の言葉とは?コピーライティング10の原則
「シニア向け」を謳わず販売数20万台突破 米国でも展開の「ミライスピーカー」の戦略
個々の価値観が明確な団塊世代が後期高齢者に「ケアシニア」にも、個別ニーズ対応が求められる
前年比2倍増の海洋記念葬 ニーズに応えて広がる葬送の選択肢
シニアインフルエンサーに聞く!いま、共感される等身大のファッションと暮らし
「ヘルスケア」から「ウェルビーイング」へ 人生100年時代のシニアマーケティング発想法
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する