2023年7月で創立5周年を迎えたSOMPOケア。同社は介護付きホーム、サービス付き高齢者向け住宅などを約470カ所以上、他にも在宅サービスなどを全国618カ所で展開している。主なターゲット層は「ケアシニア」(介護保険の利用者)だという同社は、シニアやその家族のどのようなニーズを捉え、サービスを展開しているのだろうか。マーケティング部長の西田努氏に話を聞いた。
談話室より個室スペースにニーズ “ネカフェ”的空間が求められる?
高齢化が進む日本では2025年にすべての団塊世代(1947年生まれ~1949年生まれ)が75歳を迎え、後期高齢者となる。それに伴い、国民の3分の1が65歳以上となる計算だ。2000年には「介護保険制度」が始まり、社会全体で介護を支えていく動きができた。
SOMPOケア マーケティング部長の西田努氏は、現在のシニア市場の動向として、介護保険制度が始まった2000年当時と比較し、シニアがより「個別性」を重視するようになってきたと感じるという。
具体的には、皆で集うのではなく個室でゆっくりした時間を過ごすことや、興味のないレクリエーションには参加しないなど、だ。
「団塊世代が後期高齢者になるに際し、さまざまなリサーチをしている中での感覚値ですが、彼らの特徴のひとつとして、自分の意見をはっきり述べる方が多いということがあります。世代人口が圧倒的に多く、時代の潮流をつくってきたという背景のほか、高度経済成長期を支えてきた世代であることも、自身の価値観を明確に示す理由になっているのかもしれません」(西田氏)。
一方で介護保険サービスに目を向けると、例えば、施設系の介護サービスだと、個別的なサービス提供を目指してはいるものの、入浴は週に2回のみや、食事は皆で食堂に集まって一斉に食べ始めるなど、集団生活を求める環境が多い。
「介護施設と呼ばれるものでも、個々の部屋に風呂やキッチン、インターネット環境を備え付けておく...