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シニアの熱狂が市場を動かす。

「令和シニア」に響く広告の言葉とは?コピーライティング10の原則

石山温子氏(日本SPセンター)

企業が商品やサービスをシニア向けに訴求する場合、商品名や広告コピーもまた、シニアに向けて制作する意識が求められるのではないだろうか。今回はシニアに響くコピーとはどのようなものか、日本SPセンターシニアマーケティング研究室プランナーの石山温子氏が10の原則を解説する。

加齢に伴い脳の力は衰えてくる。もちろん個人差はあるし、すべての能力が低下するわけではない。処理速度、記憶、推論は低下するが、語彙は60歳頃まで上昇し、その後もほとんど低下しない。しかし読解力は、年齢が高くなると下がってくる。【図1】のようなシニア特有の変化を踏まえながら、シニアに響くコピーには次の10の原則が欠かせない。

図1 読解力と年齢の関係
出所/「第1回OECD国際成人力調査(2013年)」

1.用途や効果がわかる

当たり前と思われる方も多いと思うが意外と、これができていないコピーを見かける。以下は架空の食器洗い洗剤のコピーとして書いたもの。

例:食器洗い洗剤のコピー

× オイルバニッシュ効果で汚れを撃退

〇 洗剤を吹き付けるだけで、油汚れがしっかり落ちる

内容を想像できない機能名だけ伝えても、理解はできない。しかし機能名が頻発しているコピーは少なくない。商品の働きや効果が伝わらなければ、共感も行動も生まれない。

2.簡潔な文章

長い文章を理解するには、先に読んだ内容を記憶に留めながら、読み進める必要がある。しかし短期記憶を担う海馬は、加齢に伴い縮小。長い文章の場合、シニアは前の話に戻りながら読むことになり、面倒で読むのがイヤになる。できれば1文は、35文字前後に収めたい※。

※ちなみに小学3年生教科書の1文あたり平均文字数は、27文字足らず、小学6年生なら29文字、小説『坊っちゃん』の1文あたり平均文字数は29文字。

×文章が長いと理解しづらい

【例文】由布院の魅力(115文字)


由布院の温泉宿泊施設はにぎやかな町並みから外れた周辺の川端や松林の間丘の上などに点在していて、湯量が豊富で広い範囲で湯が湧くため、旅館が一箇所に集積する必要が少なかったことから一軒の敷地も比較的広く、町の造りはゆったりとしている。


〇文を分ける、改行を行う

【例文】由布院の魅力(30~35文字×4行)

由布院の温泉宿泊施設はにぎやかな町並みから外れたところにある。
周辺の川端や松林の間丘の上などに点在していて、湯量が豊富。
広い範囲で湯が湧くため、旅館が一箇所に集積する必要が少なかった。
このことから一軒の敷地も比較的広く、町の造りはゆったりとしている。

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