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バズるだけで終わらせない!SNSマーケティングの成功事例

ユーザーと商品・企業の出合い方とは?SNSマーケティングの成功確率を高める方法

重枝義樹氏(ガイアックス)

ひとりのユーザーが目的ごとに複数のSNS媒体を使い分けることが当たり前になり、価値観の多様化を背景に企業からの一方通行のコミュニケーションでは届けたい情報を伝えることが難しくなっています。本稿では市場とSNSのアルゴリズムの実態に基づいたSNSマーケティングに関する発想や実際の施策に落とし込む際のポイントをガイアックスの重枝義樹氏が解説します。

なかなか更新されないSNSマーケティングのイメージ

現在SNSは広く普及し、企業のマーケティングにおいても最重要検討項目にあがるチャネルになっています。

その一方で、SNSマーケティングと言えば、公式アカウントを開設し、フォロワーをなるべく多く集める、インフルエンサーに依頼し、プロモーションを含む投稿をなるべく多く拡散させることを目的とするなど、旧態依然としたイメージを持たれているのもまた事実です。

SNSマーケティングを行うとしたら、まずはターゲット選定、次にターゲットが使っている媒体選定、その次に媒体とターゲットに合わせたコンテンツの企画といった順序で進むことが多いでしょう。

しかし、そのような“硬直”した発想法でSNSマーケティングを考えても、なかなかうまくはいきません。なぜこの発想を“硬直”というのか。それはこうした発想法は、旧来のマスメディアを中心とした一方通行でターゲットにコミュニケーションするマーケティングモデルにとらわれたものだからです。

分かりやすく言えば、「雑誌〇〇の発行部数は〇〇部で、人口構成は30-40代の子育てしている女性が多いから、子ども服の訴求にぴったりです」というような世界観のマーケティングです。

マスメディア時代の発想法では有効なターゲティングは不可能

しかし実際SNSでは、そのような単純な構図で媒体選定やターゲット選定をすることはできません。理由は主に次の2つが挙げられます。

ひとつ目は、ひとりのユーザーが、横断的に複数のSNSを使用していることが挙げられます。そのため、SNSマーケティングを巡っては、「20代女性と言えばInstagramだよね」「30代男性はX(旧Twitter)でしょう」というような会話がいまだに聞かれますが、現在においてはそのような発想は、すでにナンセンスなものになっています。20代女性だろうが、30代男性だろうが、SNSは、XもInstagramもYouTubeもすべてアカウントを持っており、どれも積極的に活用しているからです。なんなら、ひとりのユーザーがそれぞれのプラットフォームごとに複数のアカウントを持っているような場合もあります。ただ、ひとりのユーザーが、気分や目的ごとに、Instagramを見たり、YouTubeを見たりとSNSを使い分けているだけなのです。

実際これをお読みになっている方でも、様々な性年代の方がいらっしゃると思いますが、InstagramもXもYouTubeもFacebookも、少なくともアカウントくらいは持っているし、どの媒体をよく見るかというと、どれかひとつには絞れないことが大半ではないでしょうか。

2つ目の理由は、価値観の多様化により、デモグラフィック(人口動態統計的)な市場解析に基づくマーケティングが困難になったからです。特にアルゴリズムに支配されたSNSにおいては、その傾向が顕著になります。デモグラフィックに市場を解析するとは、要するに性別、年代、職業など、人口動態的に処理できるデータで市場をセグメントしてターゲティングするということですが、現代においては、「30代中盤の男性なら結婚していて、そろそろ家を買う頃だよね」とか「20代半ばで未婚の女性は婚活に関心があるはずだ」などという紋切型の構図で市場を把握しようとすると、まず失敗することがほとんどです。同じ性年代でも様々なライフステージがありますし、結婚や住居にしても多様な価値観があるのが現代です。なのに、いまだにデモグラフィックにマーケットをとらえようとする癖にとらわれているマーケティングが多いですし、その旧来の発想のSNSマーケティングも散見されるのです。

どうしても無視できない最近のSNSのアルゴリズム

しかも最近のSNSのアルゴリズムは、ユーザーの興味関心を分析して、ユーザーごとに合わせたコンテンツをデリバリーするものになっています。

皆さんのInstagramやXやYouTubeも、フォローしていないはずのアカウントのコンテンツ、しかし確かに自分が興味を持ちそうな投稿で溢れかえっているはずです。

これは、あなたのSNS上のいいねやコメントや各投稿への滞在時間のデータに基づき好みが分析されているということ。

従って、おすすめされるコンテンツは、たとえ同じ年代、性別でも似通っていることの方が珍しいでしょう。

むしろキャンプ好きの20代男性なら、同じ20代男性でインドア派の人がおすすめされるコンテンツよりも、キャンプ好き50代女性がおすすめされるコンテンツの方が似通っている方が当たり前の世界です。

サイコグラフィック(心理的属性)とクラスタ(ネットワーク)で考える

それでは、どう考えれば正解なのでしょうか。正解を導き出すための方向性は2つあります。ひとつ目はユーザーを、デモグラフィックではなく、サイコグラフィック(心理的属性)で捉えるということです。価値観が多様な時代になったということは、性別や年代でマーケットを区切れなくなったというだけで、市場解析ができなくなったということではまったくありません。

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