メディア環境、市場環境が変化を続けるなか、生活者とブランドの接点をつくり、さらにその関係性を深めていくマーケティングやコミュニケーションの仕事の難易度はますます高まるばかりです。そうした環境のなか、常に存在感を発揮する企業でマーケティング戦略をリードするトップランナーは、戦略と課題をどのように考えているのでしょうか。大手広告主の51社の広告・マーケティング部長に聞きました。
41 森永製菓

マーケティング本部 広告部
部長
猪瀬 剛宏
1991年森永製菓入社。製造・販売・企画担当を経て、2007年営業マネジャー、2014年マーケティングマネジャー。2018年4月より現職。
● 所属人数:8名
● 平均所属年数:6年

今年度のマーケティングの戦略の方針
2030年ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを実現するため
①消費者起点のマーケティングを実践、ブランド育成を図る
②メディアミックスと戦略的PRで、ブランドの認知拡大を図る
③商品の配荷の拡大を図る
部門の運営上で抱えている課題
● 部内・部員の知識・スキルが不足している
● 取り組みの成果を評価する指標がない、あるいは不明確
● 他部門から期待される投資に対する説明責任が十分に果たせていない
今年度注力したい施策・領域
● 企業・プロダクトのブランド価値を向上させること
● メディアの効率的なプランニング・バイイング
● マーケティング投資のROIの可視化
現在、注目している生活者の意識や行動にかかわる潮流・トレンド
タイパという言葉に代表されるように「時間を無駄にしない、効率よい使い方」が求められている。長い時間を要する情緒よりのブランディングと、必要な情報をストレートに伝える・雰囲気で自分に必要なものと直感で感じていただくタイパ訴求のバランスが非常に重要になっていると感じる。
昨今注目の広告・マーケティング手法や技術
● AI技術
● メタバースをはじめとするXR技術
● NFT
42 森永乳業

マーケティングコミュニケーション部
部長
林 正義
2015年アイスクリームマーケティンググループ長、2020年ビバレッジマーケティンググループ長を経て、2021年よりマーケティングコミュニケーション部長。
● 所属人数:22名
● 平均所属年数:5年

今年度のマーケティングの戦略の方針
2023年度の大方針は「与えられた予算で最大効果を発揮する」。効果というのは「お客さまの『ココロ』に働きかけて、ビジネスに影響を及ぼす『変数』を動かすこと」だと思っており、この効果を出すために全力で「企てて」いけたらと思っている。
部門の運営上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための予算が足りない
● 部内・部員の知識・スキルが不足している
● 経営層や他部門から、取り組みに対する理解が得づらい
今年度注力したい施策・領域
● 企業・プロダクトのブランド価値を向上させること
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● 商品開発部門(事業部門)との連携
現在、注目している生活者の意識や行動にかかわる潮流・トレンド
社会に流通する情報量は飛躍的に増え、どんな情報を受け取るかは生活者の自由で、さらに生活者自身が情報を発信して第三者に影響を及ぼすことができる、情報のコンシューマーコントロール時代だ。生活者が興味をもつ要素が含まれたアイデアを発想・実現しないとコミュニケーションは機能しないと考えている。
昨今注目の広告・マーケティング手法や技術
● AI技術
● メタバースをはじめとするXR技術
● NFT
43 ヤマハ

ブランド戦略本部コーポレート・マーケティング部
部長
吉川 剛志
1997年入社。国内営業、海外営業、ソフトコンテンツ事業を経て、2017年ヤマハミュージックオーストラリア社長として豪州赴任。2021年4月にCX戦略部長として帰任、2023年4月よりコーポレート・マーケティング部長。
● 所属人数:70名
● 平均所属年数:3年

今年度のマーケティングの戦略の方針
ブランドプロミス“Make Waves”が体現する感動体験を一貫性のあるコミュニケーションでグローバルに訴求するとともに、データを活用した顧客体験の向上・価値創造力の向上によってヤマハブランドの価値を実感いただくことで、お客さまと長きにわたる関係性を築く。
部門の運営上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための人手が足りない
● 部内・部員の知識・スキルが不足している
● 外部パートナーとの連携体制に不安・不満がある
今年度注力したい施策・領域
● 企業・プロダクトのブランド価値を向上させること
● 新規見込み客の発掘・獲得
● データの利活用
現在、注目している生活者の意識や行動にかかわる潮流・トレンド
デジタルメディアへの接触時間が増えるとともに、顧客だけでなくデジタルメディア自体も多様化が進み、正しい顧客へ正しいメッセージを届けることの重要性が増している。AIが従来の広告ターゲティングをどのように変えていくのかに注目している。
昨今注目の広告・マーケティング手法や技術
● AI技術
● NFT
● インフルエンサーマーケティング
44 ユーグレナ

広報宣伝部
部長
北見 裕介
下着メーカー、化粧品メーカー、IT企業を経て、2019年にユーグレナに入社。2020年に経営戦略部コーポレートコミュニケーション課課長、2022年より広報宣伝部 部長。2023年4月よりキューサイを兼任。
● 所属人数:12名
● 平均所属年数:8年

今年度のマーケティングの戦略の方針
2023年よりインナーコミュニケーション含む、コミュニケーション施策の部門を統合し、ユーグレナ社のブランドパーソナリティ統一を進め、認知向上を目指している。
部門の運営上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための人手が足りない
今年度注力したい施策・領域
● 企業・プロダクトのブランド価値を向上させること
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● クリエイティブ力の向上
現在、注目している生活者の意識や行動にかかわる潮流・トレンド
新型コロナウイルス対策が変わるなかでの、外出・旅行需要の高まり。
昨今注目の広告・マーケティング手法や技術
● アドベリフィケーション
● コミュニティマーケティング
45 有楽製菓

マーケティング部
執行役員
マーケティング部
部長
杉田 晶洋
2011年4月有楽製菓入社。2017年3月開発部 商品開発課 課長、2020年3月マーケティング本部 開発部 部長、2021年3月マーケティング部 部長、2022年3月より執行役員 マーケティング部 部長。