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「知る」と「買う」の間にあるものとは何か?

「知っている」のその先にある「買いたい」は、どうつくられるのか

本田哲也氏(本田事務所)

世の中に商品やサービスがあふれる中で、「認知」されるだけでは購買につながらない時代になっている。認知の先にある「どう思われているか」というパーセプション(認識)が、マーケティングにおいて重要であると説くPRストラテジストの本田哲也氏に、消費者行動の変化について聞いた。

CMにどのような役割があるかが議論されるようになった

──テレビには今もリーチ力はあるかと思いますが、実際に店頭が動くかどうか?という点において、マーケターの方たちはどのように考えているでしょうか。

メディアの種類も流通する情報量も増加していくなか、消費者へのアプローチはますます難しくなってきています。これまで特に日雑や食品などのカテゴリーでは、多くの人に知ってもらうことが売上に直結していましたが、「とにかくマスにリーチしなければ!」という姿勢は、事業会社の皆さんの中でも少なくなってきているのではないかと感じます。

テレビCMの場合は、15秒・30秒といった尺の問題もあり、伝えられる情報量が限られています。そこで最近は、「テレビCMにどのような役割を持たせるべきか?」といったことが議論されているように思います。

ここで言うテレビCMの役割の議論とは、PRやセールスプロモーションなど、複数のマーケティング・コミュニケーション手段のなかでの位置づけを検討し始めているという意味です。

とはいえ現状は、「模索し始めている」という段階にいる企業も多いでしょう。特に大手メーカーは、これまでの慣例から抜け出すことは容易ではありません。メガブランドであれば大きな改革は相当慎重になりますから、新規ブランドや中堅ブランドなどで、まずは新たなチャレンジを始められている印象があります。

また、よく言われていることではありますが、消費者の購買行動に大きな影響を与えているもののひとつに口コミがあります。商品価値や魅力が伝わるUGCをいかに醸成できるか。企業からの適切な情報発信や、コミュニティづくりもそのひとつかと思いますが、その状態をつくり出すことも、マーケティング施策のなかで重要になっていると考えます。

──マーケティングの全体最適の実現、投資の最適化配分といったテーマについて、本田さんはどのようにお考えですか。

投資できる費用も限られているうえに、消費者の生活スタイルは細分化されているので、全体最適の実現は非常に難しくなっていると感じます。

全体最適の視点のひとつには、広告以外の施策、例えばPRを組み込んだうえで、効果を最大化する投資配分ということもあると思います。しかし、PRが選ばれる理由として、「広告よりもコストがかからないから」といった見解も過去にはありました...

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