各国がWeb3.0への取り組みを続々と表明している。日本でも2022年4月に当時の「NFT政策検討プロジェクトチーム」が岸田文雄首相へ、成長戦略の柱として提言。これまで日本が培ってきた価値をより一層高めることに寄与するとしている。なぜ、Web3.0時代の到来は日本にとってチャンスになり得るのか。「web3プロジェクトチーム」座長を務める、衆議院議員の平将明氏に聞いた。
NFTやDAOは日本の価値を適正な価格に引き直す技術
私が座長を務める「web3プロジェクトチーム」は2022年1月に発足しました。当初は「NFT政策検討プロジェクトチーム」という名称の組織でしたが、NFTはWeb3.0におけるひとつの技術にすぎないという議論が党内で高まったことから、現チームに改組した経緯があります。
その後、2022年3月に「NFTホワイトペーパー」を発表。本案ではWeb3.0を「デジタル経済圏の新たなフロンティア」と定義しました。これから新たに到来するWeb3.0時代は、日本の経済・産業にとってチャンスとなり得ることは間違いありません。しかし、このままでは乗り遅れてしまうことも確か。だからこそ、日本が持つ資産をどう活用すればWeb3.0時代での成長が実現できるのかを今のうちから明確にしておく必要があると考えています。
なぜ、Web3.0時代は日本の成長チャンスなのか。ポイントは、日本が保有する金銭的価値では換算しにくいアナログな「価値」にあります。
日本という国が持つ強みはさまざまですが、クールジャパンや地方創生の側面から考えてみると、コンテンツ・IPや伝統、食、ポップカルチャー、観光体験など、他国には真似できないものに満ち溢れています。ここで羅列したようなものが、先述の日本が持っているアナログな価値の一例です。金銭的な価値に換えがたい、まさに“プライスレス”なものが多く含まれていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
このように、他国にはない多くの価値を持っているにもかかわらず、日本経済の成長は停滞。コロナウイルスの感染拡大によってインバウンド消費が減衰する以前からの課題になっているのはご承知の通りです。
この課題のひとつの要因として考えられるのは、日本におけるコンテンツ・IPや観光体験の価値がグローバルで見て、かなり安価に設定されていることです。世界的に人気を得て、コンテンツが消費されているにもかかわらず、価格を安価に設定してしまっているがゆえに収益が伴っていません。この課題を解決するには、世界中で認められている日本の価値を、グローバルな適正価格に引き直す必要があります。
ここで解決の手段として大きな可能性を持っているのがNFTやDAOといったWeb3.0時代を支える構成要素。価値に見合った適正な価格を設定するための大変有効な技術です。
DAOと呼ばれる分散型自律組織には様々な種類がありますが、映画の制作委員会やファンコミュニティのような組織もDAOと想定することができます。DAOとは...