新たに拓かれるWeb3.0時代は社会、マーケティングをどう変えるのか
ここ数年、トレンドワードとして語られることが多い「Web3.0」。昨今のChatGPTのようなジェネレーティブAIの登場や国内外のNFT、暗号資産の取引の隆盛を見ると、ただのトレンドでは済まされなくなってきた。待ったなしと言えそうなWeb3.0時代の到来は、日本社会の何を変えるのか。国際大学GLOCOM客員研究員の林雅之氏が、政策や産業界の方向性と照合しながらマーケティングへの可能性を解説する。
インターネットの登場により、それを取り巻くデバイスやテクノロジーも進化。それに伴って生活者の価値観も変化してきた。Web3.0でも同じことが言えそうだ。実際に時代が到来することによって、私たち生活者はどのように変化するのか。Web3.0の構成要素のひとつである「メタバース」という観点から、博報堂DYメディアパートナーズ イノベーションセンター長の安本純毅氏に聞いた。
インターネットが登場し、生活者がサイトからの情報を一方通行で取得していたWeb1.0時代。そしてSNSの誕生やスマートフォンなどのデバイスの発達により、ユーザーである個人同士が双方向でコミュニケーションをとれるようになったWeb2.0時代。このWeb2.0時代とは、いわゆる現代のことですが、プラットフォーム上に誰でもコンテンツを出せるようになったり、通信速度も上がったことから、いつ、どこにいてもコミュニケーションを楽しめるようになりました。
今ではインフラとしてインターネットが生活に欠かせないものになっていることは、生活者の皆さんも肌で感じているはずです。
このようにWebの進化をたどってみると、ユーザーである生活者の価値観も同時に変化をしていることに気づかされると思います。
そして、次世代のメディア、ひいては社会を表すキーワードとして昨今、注目を集めているのが「Web3.0」です。これまでもインターネットやWebの活用の進化が人々の意識や行動に影響を与えてきたとするならば当然、Web3.0時代の到来によって生活者が変化することは必然だと言えるでしょう。
では、Web3.0時代で生活者はどう変わると予測されているのでしょうか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が次世代のメディアと生活者の関係性をまとめた「2040 PROJECT」(https://mekanken.com/2040project/)をもとに、主にメタバースという新たな空間で過ごすうえで変化する生活者の価値観について説明していきたいと思います。
Web3.0と併せて語られることが多いメタバースですが、私はWeb3.0時代を構成するひとつの要素であると捉えています。メタバースは、XR・AR技術の進化によって生み出された新しい空間。ゴーグルや必要な機材が家庭用として揃えづらいことから、現在はまだ十分に普及しているとは言い難いですが、生活者の価値観変化には、この新たな空間であるメタバースの登場が大きく影響を与えるのではないかと考えています。
キーワードは「多層化」「多場化」「多己化」の...