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宣伝担当者が知っておきたい 著作権なんでもQ&A

トレースの注意点

岡本健太郎氏(骨董通り法律事務所)

    QUESTION:

    Q.ある写真家の写真をトレースして、イラストを作成しました。著作権侵害になりますか。

ANSWER:

POINT 1
トレース

先日、あるイラストレーターの作品にトレース疑惑が浮上し、作品集やグッズが販売停止となりました。昨年には、別の作家のトレース疑惑もありました。トレース疑惑は「トレパク」ともいわれ、比較的頻繁に問題となっています。今回は、これらの事案を契機として、トレースについて考えます。

トレースは、既存の絵画、写真、図面などを敷き写す複写技法です。作業の効率化などを目的として、図面、イラスト、漫画などの制作に用いられるようです。比較的安価なトレース台もありますし、図面が中心のようですが、技能検定まで存在するなど、トレースはありふれた技法といえます。ただ、他人の著作物を下敷きにしたトレース作品は、複製権や翻案権などの著作権侵害の問題が生じ得ます。

POINT 2
写真の利用

他人の著作物をほぼそのまま再現すると、複製権の侵害となり得ます(著作権法21条)。また、他人の著作物を参考に、類似の著作物を制作すると、翻案権の侵害となり得ます(同法27条)。

写真の表現上の特徴は、例えば、①被写体の選択や組合せ、②構図、③被写体と光線の関係、④アングル、⑤陰影、⑥色彩...

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