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社会学の視点

愛しのミニチュア・ドール

遠藤 薫氏(学習院大学)

人が現実を学ぶツールとなる、幸福と闘いのシミュレーション

ひなまつりの季節は淡いピンクの香りがする。最近は雛人形もコンパクトなものが多いけれど、子どもの頃は、赤い毛氈の雛段に人形がずらりと並び、いつもの部屋がちょっと異世界化してドキドキした。それぞれに表情豊かで、見ていると彼女・彼たちのおしゃべりや心の声が聞こえてくるようだった。友だちが集まれば、人形を動かしてごっこ遊びに夢中になった。おかげで高価な人形やお道具が壊れたりなくなったりするから、よく叱られもしたけれど、それも懐かしい思い出だ。

近年は旧家の豪華な雛人形を公開して、地域おこしにつなげている例も多い。私もあちこち訪問したが、兵庫県たつの市や宮城県丸森町の豪華な雛人形はとくに印象に残っている。いまは静かな地方都市も、かつては賑やかな交通の要衝であり、栄華を極めていたことが偲ばれる。

ヨーロッパでは「ドールハウス」が生まれた。内装や家具や調度品などが揃えられ、本当にそこで生活しているように感じられる。19世紀の市民層の家庭で子どもに与えるおもちゃとして始まったと言われるが、いまでは好事家たちが熱中する収集品でもある。現代のドールハウスと言えば、リカちゃんハウスやシルバニアファミリーなどがある。発売時の子どもたちはすでに大人になり、世代を問わず...

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