成功も失敗も楽しいガチャは、モノ消費でなくコト消費
ガチャが好きである。ちっちゃい頃からガチャ好きである。当時、ガチャのマシンは小さくて、おもちゃ屋さんや駄菓子屋さんの店先にちょこんと置かれていた。1回10円。試験が終わったときなど、「自分にご褒美」気分で、友だちとガチャを満喫した(総額百円くらいだが)。景品は、当たりはそれなりに心をそそるグッズだが、出てくるのはほとんど安っぽい消しゴムとかだった。でも当たりがほしかったわけじゃない。レバーを回す感触にワクワクした。
ところが大人になってふと気づいたら、ガチャはいつの間にか一大マーケットに成長していた。数百台のマシンがならぶ専門店も珍しくない。最近だと、池袋西口地下通路のガチャスペースが壮観である。『月刊トイジャーナル』は、2021年のガチャ市場は400億円を超えたと予測している。ガチャスペースの拡大に拍車をかけたのが、コロナ禍である。撤退店舗の跡がガチャスペースになったり、羽田空港でも、みやげ物売り場の一角をガチャが占拠していた。
とはいえ、現在のガチャは、かつての10円ガチャとは大きく様変わりしている。第一に、訴求対象は子どもより大人である。第二に、価格が300~500円と高価格帯になり、その分、景品もよくつくり込まれ、魅力的である。第三に、かつての...
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