30秒9億円超の広告枠の舞台裏で白熱する裏スーパーボウルCM
「みんながCMを見る日」として有名なNFLスーパーボウルが2月12日に開催された。今年の30秒CM平均単価は700万ドル(約9.23億円)と、昨年の650万ドルから7.7%増となった。過去3年間続く経済不況のなか、今年は自動車業界や旅行業界などから複数のスーパーボウル常連企業が撤退。しかし限られた予算で、何とかスーパーボウル祭りに便乗しようと工夫する企業も少なくない。
米国広告マーケティング事情
「Z世代、90年代にハマる」「広告業界は90年代ノスタルジア・ブームに」-。昨年後半から、こんな見出しがメディアを賑わせている。そして2022年に入っても「ノスタルジア・マーケティングブーム」の勢いは衰えず、今年前半の大きな波となりそうだ。
昨年12月23日付ニューヨーク・タイムズ紙はスタイル特集で「Gen Z Channels the 1990s(Z世代、1990年代にハマる)」を掲載し、Z世代がいかに今、90年代のファッションや文化を嗜んでいるかを解説した。また「同世代の歌手オリヴィア・ロドリゴは1995年製のシャネルのスーツを、モデルのベラ・ハディッドはグッチ1998年春コレクションを着て注目を集めた」ことを例に挙げ「著名ファッション誌やインスタグラムなどのSNSも、こぞって90年代ファッションを特集している」と指摘した。
こうした90年代ブームに乗って、リーバイスは昨年12月1日、「501シリーズの新商品501 ’90sジーンズを発売する」と発表した。そして広告に起用されたモデル兼女優のヘイリー・ビーバーは「いま注目されている、自分が生まれた時代を振り返ることはクールだし、90年代の写真・映画・ファッションの美しさに私は惹かれます」とティーンヴォーグ誌に語っている。
同誌は1873年誕生のリーバイス501が伝統の型を継承しながら微妙にスタイルを変えたことに触れ「やや前屈で緩めの着やすいデザインで、90年代のオーラが帰ってきたようだ」と新商品を表現した。
モデル兼女優のヘイリー・ビーバーを起用したリーバイス501 ’90ジーンズのCM。「ちょっと大きめのジャケットやパンツが好き」と述べるなど、90年代ファッションの魅力を語る。
ペプシコは1月4日、「92年発売の“クリスタル・ペプシ”30周年を記念して、写真コンテストを開催する」とTwitterで発表した。自身の90年代の写真をハッシュタグ付きでTwitterに投稿すると、抽選で300名にクリスタル・ペプシが当たるキャンペーン。
同商品はわずか2年足らずで販売中止となった透明色のコーラで、今でも“幻のコーラ”としてマニアには人気が高い。2016年に限定販売されたが、今回は一般販売がないことから希少価値が高くなった。そしてCNNやUSAトゥデーなど...