全米小売業界が年末商戦を予測「前年比3~4%増で最大145兆円」
11月の第4木曜日の感謝祭が終われば、アメリカは本格的な年末商戦へ突入する。National Retail Federation(全米小売業協会)は、2023年米年末商戦の総支出額を前年対比3~4%増の9573億ドルから9666億ドル(143.6兆円~145兆円)と予測している。慣習では「ブラックフライデー・セール」は感謝祭の翌日から始まるものだが、ここ数年、11月初旬から前倒しで年末セールを始める企業が増えている。
米国広告マーケティング事情
「アルファ世代」は2010年から2025年に生まれた世代で、21世紀以降に生まれ育った最初の世代。特徴としては、AIやハイテクを好み、多様性に寛容で、既成概念を嫌い、どの世代よりも高い教育を受けている、などがあげられる。そして、多くの米企業マーケターたちは静かにアルファ世代へアプローチを始めている。
コロナ時代に育っているアルファ世代は家で過ごす時間が長く、デジタル空間で大半の時を過ごしている。しかし長い間オンラインで過ごしていると、フィジカルな運動が恋しくなる。そんなとき退屈や運動不足からくるイライラ解消のために重宝するのがFidget Toy(フィジェット・トイ=単調な作業を繰り返して遊ぶ種類の玩具)である。数年前に流行ったハンドスピナーもその一例だが、自閉症の子供の不安解消や、一般の子供でも集中力を持続するときにフィジェットが有効であるという研究結果が出ている。
「Pop It」は現在、最もホットなフィジェット・トイ。シリコン製平板の丸い穴を裏返す単純な作業を繰り返す玩具だ。凹凸穴をひっくり返すときの「ポコ」という音が癒やしになる。今年フィジェット玩具が大ヒットすると、玩具メーカー以外の企業も一斉にフィジェット市場に参入。ディズニーはミッキーマウスやスター・ウォーズの「Pop It」を発売している。
その他、キラキラ水晶粘土をこねる際のパチパチ音が脳を刺激し、ASMR効果の高い「パテ(スライム)」や、クレヨン会社CrayolaのDIYキットなど、創造力や工作能力を引き出しながら遊べる商品も売上を伸ばしている。
カンター・コンサルティング副社長のレイ・デュラン氏は「子どもたちは(コロナ中も)フィジカルな遊びを恋しがっている。フィジェット大ヒットの理由はそこにある」と述べた。
今年大ヒットしたフィジェット・トイで代表的な「Pop It」。シリコンでできた凹凸板を押すと「ポコ」という音がして、それがストレス解消になるという。デジタル画面に飽きた子供たちが遊ぶアナログなおもちゃ。
アルファ世代は自分でモノを買う機会がほとんどないので、企業はまず親を説得する必要がある。アルファ世代の親はミレニアル世代(現在25〜40歳)。彼らの多くは「サステナビリティ」「地球温暖化」「男女機会平等」などに強い関心を持ち、それを自分の子どもにも引き継がせたいと願っている。
そういった観点から、バービー人形のマテル社はリサイクル素材でつくられたパッケージを導入し、捨てられたプラスチックを人形に再利用するプログラム「Mattel PlayBack」を開始した。今夏に発売された「Barbie Loves the Ocean(BLO)」コレクションは...