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米国広告マーケティング事情

ワクチン接種後の米国 企業が仕掛ける『バック・トゥ・ノーマル』マーケティング

松本泰輔

アメリカではコロナワクチン完全接種率が70%近くまで上がった地域もあり、7月には外出規制が緩和されるなど徐々に元の生活に戻りつつある。そして企業は今「バック・トゥ・ノーマル」をテーマに、キャンペーンを展開し始めている。

エクストラ・ガム “外出が増えると、ガムが売れる”CM

リサーチ会社NielsenIQによると、チューイングガムは今年1月に比べて5月には約1500万個近く多く売れていることが調査でわかった。こうした市場の動きを察知したガム会社のリグリー社は「マスクを外し、エクストラ・ガムを持って外出しよう」という動画CM“For When It’s Time”を制作した。このCMでは、ヒゲが伸び放題の男性やビデオ会議に飽きた女性などが、まるで冬眠からさめた動物のように、ふらふらと外出していく。あるものは埃だらけの車で、またあるものは着の身着のままで、あわてて街に飛び出していく。

公園に集まった恋人同士は抱擁しあい、会社員たちは蔦の生え茂ったビルのドアを開け、オフィスへ向かう。人々は歓喜の声をあげ、外出の自由を祝う。このユーモアあふれるCMはYouTubeでも「アカデミーのショートフィルム部門で受賞できる」「コンセプト立案者は昇給をもらうべき」など、多くの称賛コメントを獲得している。こうしてエクストラ・ガムは「外出が増えるとガムが売れる」という追い風とともにさらなる売上増を狙う。

(1)エクストラ・ガム

約1年ぶりに自宅から外出する人々が、冬眠からさめた動物のように、フラフラと街へ出ていく。エクストラ・ガムを噛み始めると恋人に再会し、抱き合う男女。会社員はビルの中に入って歓声を上げる。「外出が増えると、ガムが売れる」という説もあり、ユーモアCMで売上倍増を狙う。

米量販店ディックス「今年は通常のバック・トゥ・スクールを」

アメリカの新学期は9月(一部の地域は8月)から始まるので、7〜8月は「バック・トゥ・スクール(BTS)キャンペーン」が開催される。文房具・コンピューター・衣類など多額の消費が見込まれ、年末セールに次ぐ大きなイベントとなっている。昨年はコロナ禍の最中で、各社ともEコマースに重心を置いたアプローチであった。しかし今年は「さあ、いつものBTSショッピングへ」と例年通りのBTSキャンペーンを展開している。

量販店のディックス・スポーティング・グッズは昨年同様、TikTokをフォーマットにしたBTSキャンペーンを行った。同社CMOのエド・プラマー氏は「メインターゲットであるZ世代(90年代から2000年代生まれ)に強い影響力を持つインフルエンサーに...

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