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社会学の視点

「夜」のエモーション

遠藤 薫氏(学習院大学)

ファンダムはなぜ生まれるか 感情が呼び起こす集合体

YOASOBI、ヨルシカ、ずとまよ⋯。最近人気の音楽ユニットだ。透明感のあるハイトーンボイスがたまらなく切ない。一人でそっと耳を澄ませていたい。そんな彼らには、他にも共通することがある。名前に「夜」が潜んでいる点だ。YOASOBIは「夜遊び」だし、ヨルシカは「夜しかもう眠れずに」の一部だし、ずとまよは「ずっと真夜中でいいのに。」の通称である。なぜだろう。夜は感覚が研ぎ澄まされ、感情が凝縮する特別な時間だからかもしれない。

「感情」に注目が集まっている。「エモい」なんて言葉が流行語になるのも、そのせいかもしれない。これまで「合理性」や「効率性」ばかりがクローズアップされて、「感情」は人間のあまり賢くない部分から現れる、無意味なものと考えられてきた。でもそんなことはないと、最近は研究の世界でも気づかれるようになってきた。

感情を強く揺さぶられるとき、私たちはその理由を上手く説明できない。それが「感情って非合理で訳わかんないものだよね」という切り捨てにつながってきた。でも実はそうではなくて、ある感情が起こる背景には、その人の生きてきた世界や、見聞きしたこと、愛する人たちとの思い出、失敗や成功の経験なんかがぎゅっと詰まっている。あまりに...

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