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社会学の視点

モルカーとネットの不機嫌な猫たち

遠藤 薫氏(学習院大学)

ミーム現象は、DX時代のシェアリング・カルチャーだ

コロナ禍による巣ごもり生活で、猫を飼おうとする人が増えているそうだ。ソーシャルディスタンスで人と会う機会がめっきり減り、猫を友だち代わりにしたいという気持ちはわかる。

考えてみると、インターネットと猫は相性がいいのかもしれない。初期の頃から、様々なネット猫たちがアイドル化した。たとえば、2000年代に流行したLOLキャット(LOL=大笑いを意味する略語)と呼ばれるのは、人間みたいな振る舞いをしている猫の画像におかしな説明文を付けた投稿で、思わず笑ってしまう。たくさんのLOLキャットが投稿され、広く拡散され、共有された。

2010年代には「グランピー(気難しい)・キャット」とか、「リルバブ」が人気アイドルとなった。グランピー・キャットは、アリゾナで飼われていたメス猫で、ひどく不機嫌そうな表情がネットユーザーを夢中にさせた。「リルバブ」も飼い猫で、「永遠の子猫」とも呼ばれる幼顔が人びとを魅了した。アイドル猫たちの画像や動画はネット上で大量に拡散されるだけでなく、商品化もされた。

日本発では、まるという猫が世界的にも有名になった。まるは、興味を持つと猪突猛進、段ボールにダッシュで突っ込んだり、大きすぎる箱によじ登って飛び込んだり...

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