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社会学の視点

人々が情報を補い創り出す、ユーザー参加型の「クール・メディア」

遠藤 薫氏(学習院大学)

クール・キャットなNAOMI “ぬけ感のあるカッコよさ”とは

2月に行われた全豪オープンテニスで、大坂なおみ選手が優勝した。強かった!AFP通信は、大坂選手のことを“cool cat” NAOMIと表現。なんて素敵な言い方だ。外国のメディアは彼女のことをよく「クール」と表現する。2018年3月にアメリカのインディアンウェルズ・マスターズで優勝したときには、「GQ」オンラインが“テニス界で最もクール”と形容した。

「クール」とは、ざっくりいえば「カッコいい」という意味だが、実は複雑なニュアンスを帯びた言葉だ。二十世紀の初めにアフリカ系アメリカ人のジャズ・ミュージシャンたちのあいだで生み出され、その後、ジェームス・ディーンやロックのイメージを介して50年代にアメリカの若者文化に浸透した。

前述の「GQ」オンラインは、大坂選手の「クール」さについて、「正確でパワフルなサーブや容赦のないフォアハンドの連打で、対戦相手を残酷なまでに打ち砕いていった。コート上で彼女は自信に満ち、大胆不敵に見えた」。しかし「コートをおりるとすぐに、穏やかな口調で話す。オタク文化好きな十代の若者に戻った」と書いている。

今回も大坂選手はいつも以上に圧倒的な強さを見せつけたが、同時に、試合中に顔に止まった蝶をそっと...

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