エステーのファンベースドマーケティングに見る 企業と消費者のこれからの関係
マスメディアを使った一方通行のコミュニケーションしかできなかった時代から変わり、1対1、双方向のコミュニケーションも実現しうるSNSが登場した今、お客さまと向き合う企業の姿勢にも変化が求められている。従来のマーケティングの領域を超越したエステーのコミュニケーションから、企業とお客さまのこれからの関係性を探るヒントを考える。
「ポスト2020」広告マーケティングの行方
本連載が始まったのは2020年2月号から。日本をコロナ禍が席巻する直前のスタートだった。それから1年余りが経ち、著者の山本啓一朗氏は何を考えるのか。本誌編集長が聞き手となり、いま同氏が考える東京2020大会の意義について話を聞く(本文中・敬称略)。
山本:あの当時は、新型コロナウイルスの感染拡大前。年明けには聖火リレーも始まり、東京2020大会の開催に向けて、まさに盛り上がっていくタイミングでしたね。
山本:当時、東京2020大会本番を想定し、グループ全体で4万1千人による1週間連続テレワークのトライアルを行い、東京都の令和元年度スムーズビズ推進大賞を受賞しました。
山本:はい。実況テレビ国際衛星中継で当社の衛星通信機器が活躍しました。そして、この時に起きた技術革新が例えば、はやぶさ1・2に代表される当社の通信事業の礎になったと聞いています。オリ・パラのような大きなイベントは、たくさんの力が集結します。だからこそ、企業にとってもジャンプアップする機会になると考えています。
山本:オリ・パラのパートナーは1つのカテゴリーにつき1社限定です。東京2020大会のパートナーになるにあたり、NECはどのようなカテゴリーでパートナーになるべきか、徹底して議論を重ねました。何十もの案を出しましたが、なかなか承認に至らず⋯。最終的に決まったのは発表の1週間ほど前でした。
カテゴリーを決める上で重視したのは、企業の未来...