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「ポスト2020」広告マーケティングの行方

ゴールドパートナー企業が考える、それでも「ゴールを目指し続ける理由」

ゴールドパートナー企業と考える 東京2020大会に向き合う人たち

本連載が始まったのは2020年2月号から。日本をコロナ禍が席巻する直前のスタートだった。それから1年余りが経ち、著者の山本啓一朗氏は何を考えるのか。本誌編集長が聞き手となり、いま同氏が考える東京2020大会の意義について話を聞く(本文中・敬称略)。



──山本さんの連載が開始になったのは2020年2月号。2019年12月に山本さんの他、アシックス、野村ホールディングス、LIXILの3社のゴールドパートナー企業の担当者に集まっていただいた座談会からスタートしました。

山本:あの当時は、新型コロナウイルスの感染拡大前。年明けには聖火リレーも始まり、東京2020大会の開催に向けて、まさに盛り上がっていくタイミングでしたね。

──座談会では、成熟した今の日本においてオリ・パラが開催される意義とは何か?をテーマに議論をいただきました。そこで印象的だったのがアシックスさんの話。総勢11万人のボランティアスタッフのユニフォームの納品を担当されていて、サイズが異なる11万人分のユニフォームをサイズ別に製造・納品するとのこと。まさにマス・カスタマイゼーションのチャレンジといえると思います。この話を聞いた時、これはオペレーションのイノベーションではないか、と。

1964年の東京大会の時はわかりやすく、日本という国が近代化したのだと思うのですが、成熟した日本におけるオリ・パラ開催の意義とは、この目に見えない部分の変革にあるのではないかと感じました。当時、NECさんでもオリ・パラをきっかけとした働き方改革にも挑戦していましたよね。

山本:当時、東京2020大会本番を想定し、グループ全体で4万1千人による1週間連続テレワークのトライアルを行い、東京都の令和元年度スムーズビズ推進大賞を受賞しました。

──皆さんの話を聞き、東京2020大会という大きなイベントを契機に自分たちも変われるのではないか?と考え、私も社内でオリ・パラ開催期間中のテレワークの実施を提案しました。コロナ禍が起き、なし崩し的にテレワークが始まることになってしまったのですが。
ところで、1964年大会当時もNECさんには、今につながるイノベーションが起きたそうですね。

山本:はい。実況テレビ国際衛星中継で当社の衛星通信機器が活躍しました。そして、この時に起きた技術革新が例えば、はやぶさ1・2に代表される当社の通信事業の礎になったと聞いています。オリ・パラのような大きなイベントは、たくさんの力が集結します。だからこそ、企業にとってもジャンプアップする機会になると考えています。

──NECさんは東京2020大会は「パブリックセーフティ」のカテゴリーでゴールドパートナーになっています。この言葉は造語であり、今回初めてつくられたカテゴリーだと聞きました。

山本:オリ・パラのパートナーは1つのカテゴリーにつき1社限定です。東京2020大会のパートナーになるにあたり、NECはどのようなカテゴリーでパートナーになるべきか、徹底して議論を重ねました。何十もの案を出しましたが、なかなか承認に至らず⋯。最終的に決まったのは発表の1週間ほど前でした。

カテゴリーを決める上で重視したのは、企業の未来...

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