ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

コロナ渦でも営業中のスーパー 場を利用したプロモーション
恋人・パートナーがほしいけれど、コロナ渦で出会いがない。そう嘆くだけの人もいれば、マッチングアプリを使って出会いの可能性を広げている人もいることでしょう。条件で相手を絞り込めるマッチングアプリは出会い方としては合理的ですが、オンラインに対する抵抗感、あるいはリアルの場で出会う偶然性を楽しみたいというニーズも根強いように思われます。
欧州ではロックダウンの延長や外出制限措置が敷かれ、いまだカフェやレストランが閉鎖され、社交の場が限られています。そうしたなか、ドイツとフランスで大手スーパーマーケットがバレンタイン時期に集客を兼ねて「リアルな出会いの場」を提供するプロモーションを実施しました。両国共に生活必需品を扱うスーパーの営業は認められているため、いずれのケースも店舗を出会いの場として提供する企画で、日本との文化の違いが垣間見えます。今月はその事例を紹介します。

©E.Leclerc Thionville、同社のSNS投稿内容。
バレンタイン時期に合わせて 大手スーパーが恋活のお手伝い
ドイツのスーパーEdekaが展開したのは「独身者向けショッピングサービス」です。独身者に対して毎週金曜日の午後6〜8時に来店するよう促し、利用者たちは入店時に渡されるハート型の番号バッジを胸に付けて買物をします。
買物中に気になる相手がいたら、お店から、あらかじめ渡された用紙に相手の番号、自分の連絡先、そして一言メッセージを記入し、お店が仲介する形で相手に情報が届けられます。
お互いが承諾すれば店内の一角で面会できますし、人目が気になる人は後日個別に連絡を取り合うことも可能です。実はこのサービス、2年前から始まり細々と続いていたものだったのですが、新型コロナで脚光を浴び利用者が増えているそうです。
フランスのスーパーE.Leclerc(Thionville店)が展開したのは「E.Leclercでソウルメイトを見つけよう」というバレンタイン企画です(2月5日〜14日)。来店した恋人・パートナーを探している人たちに専用の...