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フランス消費トレンド

バーガーキングがマックを応援?──意外な声明でフランス人の心を掴む

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

「マックで注文しよう」 バーガーキングが異例の呼びかけ

新型コロナ「第2波」を抑えるため、フランスは2020年10月30日から再びロックダウンに入りました(この原稿を執筆している12月初頭現在は段階的解除の最中)。ロックダウン再開直後の11月1日、バーガーキングフランスが新聞2紙(L’Équipe、Le Journal du Dimanch)と公式Twitterで宿敵マクドナルドを応援する声明を発表し話題になりましたので、今月はそのご紹介です。

バーガーキングの声明文(意訳)は「マックで注文しよう」という見出しから始まり、「こんなお願いをする日がくるとは思いもしませんでした。

マクドナルドに限らず、KFC、Quick、O’Tacos他(中略)や個人経営のレストランも含め、ファストフードか否かに関わらず飲食業界の応援をお願いすることになるとは…。何千人ものスタッフを雇用する飲食店が皆さんの助けを必要としています。ご支援いただけるなら、今後もデリバリーやテイクアウト、ドライブスルーを利用して食事を楽しんでください」と苦境が続く飲食業への支援を呼びかけたのです。

最後に「ワッパーを注文するのがベストですが、ビッグマックを注文するのもそれほど悪いことではありません」と、ユーモアも交えて宿敵の定番商品をおすすめしています。

コロナ禍で際立つ企業姿勢とコミュニケーション戦略

公式Twitter(@BurgerKingFR)では「今回は冗談抜きで」というコメントと共に声明文の書かれた画像が投稿され、瞬く間に拡散しました(3週間でRT数約2.1万件)。コメントは「感動した」「今こそ結束しよう」との共感の声から「究極のフェアプレイ」「コーポレートコミュニケーションのお手本だ」といった企業倫理を評価するものまで...

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