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フランス消費トレンド

日仏の「食品用ラップ」はこうも違う!──文化によって変わる機能的価値

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

在留邦人は、みな困ってる!? 日本にあってフランスにないもの

新型コロナウイルスの収束がいまだに見通せないなか、日本への一時帰国は難しい状況ですし、出張者や旅行者もなかなか渡仏できないので、これまで定期的に調達できていた日本製品が入手し難くなっています。今月は日本では当たり前に使われているものでフランスでは入手し難いものを紹介したいと思います。

他の海外主要都市と同様に、パリでもアジア系スーパーマーケットに行けば、日本人になじみのある食材の多くが手に入ります。ただし種類が少ない上、値段が高く、賞味期限間近のものばかりです。フランスの場合は良質な現地食材が豊富なので、在留邦人(フランスに住む日本人)は生活の中で現地食材とアジア食材をうまく組み合わせて和食をつくる知恵を身につけていきます。ところが日用品に至ってはアジア系スーパーにもローカルスーパーにもかゆいところに手が届くような商品はあまり置いていません。

所変われば商品は変わる 似て非なる「食品用ラップ」

在留邦人に「一時帰国したときに何を調達するか」をたずねれば、真っ先に挙がるもののひとつが「食品用ラップ」でしょう。フランスで流通しているものは、薄くて切り難く、貼りづらい、という扱い難い代物なので、旭化成ホームプロダクツの「サランラップ」やクレハの「NEWクレラップ」などの高品質な日本製品が非常に重宝します。

アジア系スーパーで見かけることはありますが、例えば「サランラップ30cm×20m」1本が日本円で約900円(国内実勢価格の6倍)と高額です。このため、諦めてフランス製品と格闘している日本人家庭は多いことと思います。

フランスのような先進国でどうして使い勝手の悪いラップが流通しているのか。実はこの背景には市場ニーズの違いがあります...

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