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フランス消費トレンド

コロナに挑む、欧州バーガーキング── 面白クリエイティブから文化を読み解く

山本真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

ソーシャルディスタンスを楽しさに変えるアイデア

コロナ禍でもいかに広告宣伝・販促活動で結果を出すか、世界各地で創意工夫が見られますが、そうした中でもバーガーキングのクリエイティブはひときわ存在感を放っているように感じます。

今月はバーガーキングがドイツとイタリアで展開した「ソーシャルディスタンス」を逆手に取った販促事例を取り上げ、そこから垣間見える文化の違いについて触れたいと思います。

まずドイツで考案されたのが「Social Distancing Crown」です。同チェーンは日頃から子供たちや希望者に紙製の王冠を配布していますが、その王冠を7つ組み合わせて(お客さまがDIYする前提)直径を1.5メートルに巨大化させ、被るだけで自然に他人との距離を保ちながら食事が楽しめる、という提案をSNSに投稿しました。

遊び心溢れる施策ですが、王冠の直径を政府が定めた対人距離基準(1.5メートル)に合わせ、物理的にその距離を確保させている点がいかにもドイツらしく感じられます。この投稿は反響を呼び、ドイツにおけるバーガーキング史上最高のインプレッション数(150億)を叩き出しました。

もうひとつの事例はイタリアで発売された「Social Distancing Whopper®」です(発売時期2020年5~9月)。同チェーンのシグネチャー商品であるワッパー(ハンバーガー)に通常の3倍の量の玉ねぎを入れ、強烈な口臭で周囲の人を遠ざけソーシャルディスタンスを保とう、というアイデア商品です。イタリア人は挨拶でハグや頬を重ねる習慣がありますし、「匂い」が身だしなみのひとつとなっているので、強烈な口臭は効き目があるのかもしれません。

同施策は、コロナ対策がシグネチャー商品そのものに反映された本気度が伝わるブランドアクションともいえますが、その効果は大きく、2カ月で30億超のインプレッションと22百万€(約28億円)のメディア露出を獲得しました。

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