欧米ではBtoBビジネスにおいて積極的にインサイドセールスが活用されてきました。しかし、日本では訪問することに重きを置いた営業活動が主流のまま。そんな状況を一変させたのが、新型コロナウイルス感染症です。それでは、訪問や対面による営業は必要なくなるのでしょうか?
依然として普及が進まない日本のインサイドセールス事情
HubSpot Japanは2019年12月、日本の経営者、役員、会社員を対象に実施した『日本の営業に関する意識・実態調査』の結果を発表しました。この調査の中で、ビジネスシーンでのサービスや商品の購入に際して営業担当者に「自社を訪問してほしい」と考える人は回答者の70.6%にのぼりました。
一方で、非訪問型の営業手法であるインサイドセールスの導入率は11.6%と米国の47.2%や欧州の37.1%と比較して低い割合に留まり、日本では訪問営業が主流であることが改めて明らかになりました。しかし新型コロナウイルスの感染拡大による商業イベントの中止や在宅勤務の増加などで訪問営業は縮小せざるを得ず、多くの企業が営業スタイルの急速な変革を迫られています。
本当に訪問は必要なのか?調査から見えてきた顧客の真意
インサイドセールス導入パターンとして最も一般的なのは、「ナーチャリング(見込み客の購入意欲醸成)専任」と「クロージング専任」を分け、後者が訪問を交えながら受注を目指すハイブリッド型組織です(前述の調査によるとインサイドセールス導入組織の43.2%がこの方式)。
しかし当社の場合、ナーチャリングとクロージングの担当者は明確に分けているものの、年間利用金額が500万円を超えるパッケージ販売も含めて、ほぼすべての商談をオンラインで完結させています。なぜインサイドセールスのみで営業が成立するのでしょうか?
ここで興味深いデータをご紹介します。先の調査で買い手の立場になったことがある人に「営業担当者に自社を訪問してほしいと考える一番の理由は?」と尋ねたところ、1位が「顔を見ずの商談には誠意を感じない」(35.2%)、2位が「営業担当者の顔を見ると安心感がある」(30.1%)となり、3位の「ビデオ会議や電話で説明を受けるには複雑すぎる商材だと感じる」(13.2%)を大きく引き離す結果となりました。「誠意」や「安心感」などいわゆる「気持ちの面」の理由が主となっているのです。
一方で...