「3密」環境を防ぐことが必須の今、各種イベントは中止・延期に。特に大型イベントは、商業施設の営業自粛よりはるか前から、中止の決定がなされています。イベント業界はこの苦境をどう乗り越えたらよいのか。またアフターコロナに向けて、今からできることは何か。電通ライブの関口真一郎氏が解説します。
名指しでのイベント自粛要請 イベントはこのまま滅ぶのか?
自分が属しているのはイベント制作会社といわれるところなのですが、本稿を執筆している現在、イベントは自粛要請の真っただ中、何ひとつ現場・本番は行われていません。かつてない未曾有の大ピンチといえます。バブルが弾けたり、リーマンショックが起きたり、震災が起きたり、その都度激しく落ち込みはしたものの、必ず復活してきたのですが、今回ばかりは全く様子が違います。なにしろイベントはコロナの収束まで一番やってはいけないとされる名指しの禁忌事項です。
さらに折しもこの時に合わせてきたかのようにいわゆるオンラインの充実がなんとか間に合い、情報入手、買い物、仕事までオンラインで可能になっており、いわゆるOFF(リアル)がなくても、そして人が集まるイベントなんて滅んでしまっても、困ることがないシステムが完成していたことが証明されつつあります。
このままオフライン(イベント)が滅んでしまって将来、朽ち果てたイベント会場の前で孫に「これは何だ」と聞かれ「展示やステージやスポーツを見に人が集まる場所だったところだ」と説明しても「ちょっと何言ってるかわからない」と言われる日が来たりして……。
オンラインが発達してもオフラインの価値はなくならない
幸いオフライン(リアル・ライブといわれるもの)はエンタテインメントの世界でもスポーツ観戦についてもOMOの議論でも、それを生業にする我々のほうが驚くほど、評価というか期待というか価値のようなものが高いと感じています。それはコロナのビフォーアフターでどうやら変化はないようで、携帯電話の出現とともになくなった公衆電話のようにコロナ騒ぎを契機にオンラインにオフラインが取って代わられると言っている人は見当たりません。
コロナ騒ぎがあろうがなかろうが、技術の進化とそれを使いこなす人のスキル向上は真っ盛りでした。それを後押しするように、オフラインが凍結している今の特殊な状況下でオンラインは可能性を開拓し、さらなる充実が加速していますが。でも、だからと言って「打倒オフライン!」とか言っている人はいません。
常にオフラインはコロナ収束後に復活することを前提に語られています。よってオフラインの存続もどうやら間違いなさそうに見えます。しかしこのアフターコロナにおけるイベントの「復活の日」は本当に何もかも元通りになるのでしょうか...