ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

ネットワーク文化を先取りした80~90年代のフランス
ある数字を見聞きして懐かしくノスタルジックな気分になることはありますか?フランスでは「3615」という数字が、多くの人に80~90年代を思い起こさせる特別な意味を持つものとして認識されています。ここ数年でじわじわと「3615」がマーケティングに活用されつつありますので、今月はその動向をご紹介します。
いまやインターネットのない生活は考えられないですが、フランスではインターネットが普及する以前(80~90年代)から「Minitel(ミニテル)」と呼ばれる家庭向け情報通信サービスが隆盛を誇っていました。
電話回線にモニター付き端末を接続するだけで、ニュースの閲覧、鉄道・飛行機・ホテルの予約、ホームバンキング、成人向けチャットなど、現代を先取りしたようなサービスが利用でき、ピーク時にはサービス数が2万6000種に上り、900万世帯(人口の4割)が利用していました。インターネット登場以前にネットワーク文化がこれだけ広く普及していたことに驚かされます。
サービスを利用するには、インターネットのURLのように「番号とアルファベット」を入力するのですが、その番号が(多くのサービスで)「3615」でした。鉄道時刻案内は「3615+SNCF」、天気予報は「3615+METEO」等。インターネットの普及に伴い、2012年にサービスを終了しましたが、「3615」はサービスを呼び出すためのコードとしていまだ多くのフランス人の記憶に残っているのです …