採用難の時代を生き抜くキーワードは、「採用活動は、守りから攻めへ。マスから個別へ」。企業が一人ひとりの求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」は、採用の核となる手法のひとつである。そのメリットとノウハウについて、ダイレクトリクルーティング関連の講演や記事執筆を行っている、佐藤タカトシ氏が解説する。
ダイレクトリクルーティングは「攻め」の採用活動
「ダイレクトリクルーティング」とは、一言で言えば、企業側から求職者へ直接アプローチを行う採用手法です。これまでは人材紹介や求人広告などを提供する「人材サービス企業」を通じて、求職者を集めるのが一般的でした。ただし、ここ3~4年で潮目が変わってきた印象があります。
「採用難で求職者が集まりづらくなってきたので、既存チャネル以外での集客を行いたい」「より自社に合った人のみを厳選して呼び込みたい」「採用費を効率化したい」というニーズを受けて、「ダイレクトリクルーティング」を導入する企業が増えてきました。
これまでの採用手法はいわば「守りのアプローチ」と言えます。自社の求人の告知を出して、その希望者が集まるのを待って、該当者を選んでいく。現在でも、もちろん有効ではありますが、優秀な人材の取り合いが激化している昨今では、この手法だけでは採用目標を達成するのが難しくなっています。よって、企業側から積極的に自社をアピールする「攻めのアプローチ」である「ダイレクトリクルーティング」のニーズが高まっているのです。
①採用コストの低減 |
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人材サービス企業に支払う紹介料や広告掲載費を削減できる。大手企業では、年間千万円単位での採用費を削減したケースも。ただし、スカウトメールのDB使用料やWeb広告の出稿費用は必要。採用担当者が担う業務範囲・工数は増える。 |
②マッチング精度の向上 |
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アプローチする人材を絞るのがダイレクトリクルーティングの特徴のひとつ。スキルや経歴はもとより、人間性・志向性を応募前からチェックするので、マッチングの精度を上げることができる。ただし、大量の人数を短期間で採用するには向かない。 |
③高レベル人材へのアプローチが可能 |
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インターネット系企業の幹部採用には、役員クラスの人材が関与して直接スカウトを行っているケースも多い。外部のヘッドハンター経由で紹介してもらう手法もあるが、それなりのコストが必要となる。 |
主流はスカウトメールとリファラル採用
企業側が求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」には、大きく2つの手法があります。
①「Web」を通じたアプローチ:スカウトメール・Web広告
②「人」を通じたアプローチ:リファラル(社員紹介)採用
①「Web」を通じたアプローチにおいて、採用領域において最も積極的に活用されているのが「スカウトメール」です。従来のDMのように、数百人単位でアプローチする手法ではありません …