近年、「相棒採用」(2017~2019年度)、「スタメン採用」(2020年度~)などユニークな採用方法を打ち出してきたADK。2019年1月の持株会社体制への移行など、大幅な構造改革の中にあるADKでは、どのような狙いで採用活動を企画しているのだろうか。
「相棒採用」をバージョンアップ 現在最適から未来最適の採用へ
日本経済団体連合会(経団連)の就職活動ルール撤廃などを受け、近年の新卒採用市場をとりまく環境は急速に変化している。「相棒採用」「スタメン採用」などユニークな採用方法に取り組んできたADK人事企画部の片野倫子氏は、環境の変化に伴い、学生の就職活動の手法も多様化してきているという。
「6月1日から面接を受け始めるという学生は減少傾向にある一方で、当社のインターンシップに応募する学生は数年前と比べて増えています。インターンに参加するなど早期から動けない、部活動などに忙しい学生さんのなかには、就職浪人覚悟でほぼ就職活動をしないという人も。就職活動のスタイルの多様化が年々顕著になってきています」(片野氏)。
さらにADKでは、2017年度の「相棒採用」の成功を受け、エントリーする学生も多様化を見せている。「相棒採用」は、学生が一緒に働いてみたい現場の社員と一緒に内定を目指す“伴走型”の採用方法で、その導入によってエントリー数を3倍に増やした施策だ。
「以前は総合広告会社しか受けていない学生が多かったのですが、近年は『広告会社はADKしか受けていない』という人も。業界ではなく個々の会社単位で応募企業を選ぶ傾向にあると感じます」(片野氏)。
そして2020年度から実施している「スタメン採用」は、「相棒採用」をバージョンアップした採用方法だ。「相棒採用」の“伴走型”という特徴は受け継ぎつつ、「ADKの未来に必要な7つのタイプ(2020年度は9つのタイプ)」から、自分の強みに最も近いタイプを学生が自ら選び、アピールする方式を採った。
記録的な成果を残した「相棒採用」からの変更に際しては議論を重ねたという。しかしADKでは2017年12月のTOBを契機に、大幅な構造改革を実行。2019年1月からは持株会社体制へ移行し、大変革期にある中で、“現在”一緒に働きたい仲間以上に、未来のADKに必要な人材を採用して“未来最適”が図れる点で「スタメン採用」の実施に踏み切ったという …