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辛いときに求めるのは「言葉」 5年生存率20%を乗り越えて見えたもの

約7400人が登録する日本最大級のがん患者向けコミュニティサイト「5years」とがん患者向け生活情報メディア「ミリオンズライフ」を運営する大久保淳一さんは、かつて精巣がんと間質性肺炎から5年生存率20%と告知されたがんサバイバーだ。自分の命と向き合い、乗り越えた大久保さんが、“言葉”を大切にしている理由とは。

大久保淳一(おおくぼ・じゅんいち)さん
シカゴ大学MBA卒。1999年から2014年まで、ゴールドマン・サックスに在籍。2007年、精巣がんと間質性肺炎を発病。5年生存率20%と言われるなか一命を取り留め、翌年同社に復職。2013年にサロマ湖100kmウルトラマラソンに復帰し、2015年には悲願の病気前自己ベストを更新。現在、がん患者支援NPO法人『5years』と、自身が編集長を務めるがん患者たちの社会復帰ストーリー『ミリオンズライフ』を運営する傍ら、執筆・講演を行っている。著書に『いのちのスタートライン』(講談社)。

自分の命と向き合い生かされた意味を考える

"マラソン・デス・サブレス"。サハラ砂漠で行われるこのマラソンは、230~250kmの道のりを7日間にわたって走破する世界で最も過酷なレースのひとつだ。日中は50度近くまで気温が高まる中、ランナーたちは10kgを優に超える荷物を背負いながら、砂漠をひた走る。

2019年4月に開催された、このレースを走破した大久保淳一さんは、かつて5年生存率20%を告知された元がん患者だ。現在はがん患者とその家族向けコミュニティサイト「5years」と、同じくがん患者のための生活情報メディア「ミリオンズライフ」を運営しながら、マラソンに打ち込んでいる。

大久保さんは、2007年に精巣がんを罹患した。がんと合併症の間質性肺炎との壮絶な闘病生活の末、がん治療に成功。間質性肺炎の後遺症から肺機能の3分の1を失いながらも、治療の6年後は闘病前に毎年参加していた「サロマ湖100kmウルトラマラソン」へ復帰。さらに2年後、自己ベスト更新の悲願を果たすまでに回復した。

職場に復帰した後も経過観察のため病院を訪れる機会が続いたという大久保さんは、通院する中で闘病中のがん患者を励ますようになる。

「ついさっきまで命に向き合っている人の手を握って励ましていたのに、数時間後には投資銀行でいつものように仕事をする。その挟間で、罪悪感に近いものを覚えるようになりました」と大久保さん。闘病中に亡くなっていく同志を何人も見てきた経験もあり、次第に「自分が生かされた意味」を模索し始めるようになる。

そうして2015年に立ち上げたのがコミュニティサイト「5years」だ。がんから復帰して元気になった人の情報を得ることができ、また自分と同じがんになった人に相談することもできる。この仕組みは大久保さん自身が闘病当時に何よりも求めていたものだ。

がん患者にとって必要なものは3つある。そう考える大久保さんは、「5years」を通じてそれらを提供している。つまり、"希望"、"癒し"、"体験情報"だ …

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