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米国広告マーケティング事情

女性用品は価格が高い? 「ピンク・タックス」問題が米国で再燃

松本泰輔

2017年、映画プロデューサーによるセクシュアル・ハラスメント事件から始まったMe Tooムーブメントは、女性の昇進の遅れや低賃金などへ論争が拡大した。そして2018年後半より米国では、数年前より見識者が指摘していた同じ商品でも男性用より女性用の方が高い「ピンク・タックス」問題が再燃している。

女性用パーソナルケア商品は高額 男女差は年間平均15万円にも

2015年、New York City Department of Consumer Affairs(NYCDCA)がまとめた消費者調査によると、成分・容量・数量・サイズなどが同等の商品でも、女性用商品は男性用より価格が高いと指摘されている。要約は次の通り。①パーソナルケア商品(シャンプー、制汗剤、クリームなど)は女性用の方が13%高い ②女性服は男性服より8%高い ③おもちゃ・アクセサリー類は女児用の方が7%高い ④子供服は女児用の方が4%高い。

調査を行ったNYCDCAは「男性用、女性用の商品がまったく同じということは稀であるため、完全な比較は難しい」と認めながらも、「同等の商品を比較すると、女性は男性に比べて年間平均1351ドル(約15万円)多く支払っている」と結論づけた。

2017年8月 U.S. Government Accountability Office(USGAO)が発表した報告書「Consumer Protection:Gender-Related Price Differences for Goods and Services」でも、「女性用のパーソナルケア商品は男性用のそれと比べかなり高額だ」との調査結果が出た。加えて同報告書は、「家・車・銀行ローンなど金融サービスにおいても女性の方が高い金利を払っている」という事実を明らかにした。

USGAOは「確実な証拠は乏しい」としながらも、理由のひとつとして「女性の方が低所得でクレジット履歴も浅いため、金利を高く設定されやすいのではないか」と推測する。これについて各メディアは「これまでシャンプーやクリームなどの個人消費グッズは女性用の方が高いという認識はあったが、金融サービスでも価格差があるとは驚きだ」と報じた。

差額は年間4~7万円 NY市では、交通費にも男女格差

女性に高くつくのはパーソナルケア商品や金融サービスだけではない。11月に発表されたニューヨーク大学の調査「The Pink Tax on Transportation」は、「ニューヨーク市在住の女性の公共交通費は、男性に比べ月平均26~50ドル高い」と発表した。同報告書によると、「公共交通機関利用中に嫌がらせや盗難に遭ったことがある」と答えた女性は75%、男性は47%だった。その結果「夜間の地下鉄・バスを避け、タクシーやUberなどに乗る」女性(29%)は男性(3%)より多く、交通費が高くかかっているという …

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