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「名探偵コナン」プロデューサーが語る、広告や国民的エンタメの役割

諏訪道彦

コミック、テレビアニメ、映画とその人気は留まるところを知らない国民的アニメの金字塔が「名探偵コナン」だ。劇場版最新作の累計興行収入86億円を超える(7月16日現在)快進撃の仕掛け人は、今、作品を通して何を伝えようとしているのか。

諏訪道彦(すわ・みちひこ)さん
1959年生れ。愛知県出身。大阪大学工学部環境工学科卒業後、讀賣テレビ放送に入社。バラエティー番組「11PM」などのディレクターを務めた後、1985年に東京支社編成部(アニメの担当部署)へ異動。「ロボタン」、「シティーハンター」、「YAWARA!」、「金田一少年の事件簿」、「犬夜叉」、「ブラック・ジャック」、「名探偵コナン」などのテレビアニメ、劇場用作品を企画・プロデュースする。2012年より文化放送のインターネットラジオ放送・超!A&G+にてラジオ番組「諏訪道彦のスワラジ」を放送開始。著書に、『スワッチのアニメここだけの話』(角川書店単行本)ほか。

現代社会の潮流を取り入れる仕掛人が語る、最新作の魅力とは

青山剛昌さん原作の人気マンガ「名探偵コナン」の劇場版最新作がヒットしている。4月公開のシリーズ22作目「名探偵コナン ゼロの執行人」は未だにロングランヒットを更新中。シリーズ最高を記録した前作「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」での最終興行収入68億9000万円を上回り、累計興行収入は86億円を突破(7月16日現在)する偉業を成した。

中には劇場に複数回足を運んだ熱烈ファンも多く、アニメの金字塔として新たな歴史を刻んだと言えそうだ。その仕掛人、企画プロデュースの諏訪道彦氏は次のように話す。

「本作では比較的新しいキャラクター、安室 透のかっこよさとも言える"トリプルフェイス"の今まであまり出ていない"公安"という部分を観てもらいたいと思ったのが、企画の入り口です。安室の存在が時代の潮流に乗ったという実感があります。主役である工藤新一こと江戸川コナンと対比して語られる、安室とは何者なのか。秘密のベールに隠された素顔に迫ったのです。それが社会現象化し、テレビのバラエティー番組などで取り上げられたのは驚きましたし、嬉しかったですね。安室の虜になった女性も多かったと実感しています」。

劇場版20作目に続いて登場する謎の男・安室 透とは、コナンと親交の深い毛利小五郎に弟子入りした「私立探偵」、"黒ずくめの組織"のメンバー「バーボン」、公安警察の「降谷 零」と3つの顔を持つ今作品のメインキャラクターだ。舞台は、東京サミットの会場となる巨大施設で突如として発生した大規模な爆破事件から始まる。事件を巡り、コナンと安室 透の鬼気迫る展開には息をのむシーンも多く、最後まで観客を釘付けにしたようだ。

「青山剛昌先生が描くコナンの重要な要素は"ラブコメ"とご本人も仰っているのですが、昨年の『から紅の恋歌』とは雰囲気をガラリとチェンジし、"ラブコメ"部分よりも今作は安室 透という新感覚のキャラクターにフォーカスしました。最初から安室が所属する公安警察という、私たちにはあまり馴染みのない組織の話題に針を振り切った『コナン世界観の新境地』が魅力になったのかなと思います」。

本作の脚本家は櫻井武晴氏。ドラマ「相棒」など警察組織に生きる人間を描く作品に定評のある脚本家で、諏訪氏自身も「櫻井氏がいなかったら、この作品は生まれなかった」と言うほど信頼を寄せる人物だ。劇中に現代社会を象徴する「IoT家電」や「ドローン」などを取り入れたところも、今作品での見どころのひとつである。

"30分"でミステリーを魅せるポイントは「完全推理定食」

諏訪氏は1983年に読売テレビへ入社後、3年後に東京支社編成部へ異動になり、テレビアニメの「ロボタン」を機に、アニメプロデューサーに。本人が企画したコナンシリーズはテレビアニメで23年目、映画では22年目となる、紛れもないコナン作品に欠かせない人物だ。

「『名探偵コナン』は週刊『少年サンデー』の連載漫画で、私は連載がスタートした1994年1月から読んでいました。もともとミステリーが好きだったので、その面白さに衝撃を受けました。1992年から始まった『金田一少年の事件簿』も好きだったのですが、コナンを選択。結果として両作品のアニメプロデュースを手掛けさせていただいて、とても深い縁を感じています」と諏訪氏 …

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