
『新・ユニバーサルデザイン―ユーザビリティ・アクセシビリティ中心・ものづくりマニュアル』
2005年・ユニバーサルデザイン研究会編集
ユニバーサルデザインを総体的に説明した入門書。事例も掲載されるなど、専門的な内容も学ぶことのできる一冊。
時代の流れで変化するユニバーサルデザインの捉え方
プロダクトデザインを通じてユニバーサルデザインの研究をする肥田不二夫氏が所属する日本大学は、医学からデザインまで幅広く学部を有する総合大学だ。同氏は2014年から他学部と連携し、「医学とデザイン学の融合による次世代型呼吸器診療ツール」の開発を行っている。こうした学部を超えた研究ができることが同大学の強みと同氏は話す。
「気管支喘息は、世界で3億人の患者がいると言われます。喘息の治療の基本は内服薬ではなく、吸入療法ですが、従来型の吸入器は、薬剤を出すのにある程度吸入器を押す力が必要だったり、薬剤を吸うタイミングが難しかったりという課題がありました。そこで医学とデザインの力を合わせ、筋力の弱い方も簡単に使える吸入補助具の開発を目指しています」。
ユニバーサルデザインの観点から考えると、ターゲットユーザーは複数であり、それらのターゲットユーザーのためになっているかの検証を行うことが重要だという。
また、同氏は20年ほど前から産学連携プロジェクトにも力を入れている …
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