「WIRED CAFE」を1999年に東京・原宿にオープンし、日本にカフェカルチャーを根付かせてきたカフェ・カンパニーの創業者・楠本修二郎氏。現在は100店舗以上の飲食店を経営し、アルバイトを含め2000人のスタッフのトップに立つ。多忙な日々を送りながらも、積極的にトライアスロンやランニングにも取り組んでいる。ビジネスの第一線で活躍し続けている秘訣や考え方について聞いた。

カフェ・カンパニー 代表取締役社長 楠本修二郎氏
早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートコスモスを経て、大前研一事務所入社。平成維新の会事務局長に就任する。2001年、カフェ・カンパニーを設立し、社長に就任。約100店を運営するほか、商業施設などのプロデュースを手がける。2010年よりクールジャパン関係の政府委員を歴任。東の食の会、NEXT WISDOM FOUNDATION、フード&エンターテインメント協会の代表理事、東京発の収穫祭「東京ハーヴェスト」の実行委員長を務める。
働くこと、走ること オンやオフの境界はない
平日の空いている時間と週末を使って、ひと月に100km走ると決めています。定期的にトライアスロンのレースにも出場し、ランニングと水泳、自転車の総距離が226kmに及ぶ「アイアンマン」に参加したこともあります。一般的に、仕事をしているオンタイムと、趣味や運動のオフタイムのバランスをとるライフワークバランスが大事だと言われますが、私にとって“働くこと”と“走ること”の間には境界線がありません。そもそもオンオフという考え方がないんです。
なぜ、僕は走っているのか。それは、走ることで自分のクリエイティブマインドが呼び覚まされるような感覚があるから。誰しも、日々の生活や仕事で悩みや迷いを抱えていると思いますが、走る前にはあえて何も考えないようにします。頭の中を空っぽにして飛び出すと、気分が高揚してくる“ランナーズハイ”を迎える頃から、意識せずとも悩みや課題へのアイデアが自然と浮かんでくるんです。そうしたときは、すぐにスタッフに連絡をして指示したり、記録に残したりします。
この仕組みは、科学的にも証明されています。以前、メディアの対談企画で、脳科学者でランニングが趣味の京都大学名誉教授の久保田競さんとお話させていただきました ...