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60社のブランドマネージャーの戦略

異業種ブランドの担当者がディスカッション! 新しく生まれた消費トレンドを捉える

Zebra Japan(フライング タイガー コペンハーゲン)、ル・クルーゼ ジャポン

単品単位でのヒット商品が生まれづらい環境では、独自の努力だけでなく新しいライフスタイルや消費トレンドの波に乗ったブランド側の提案が欠かせません。本対談では、数あるトレンドの中でも進化する「ホームパーティブーム」に着眼。このトレンドをフックに新たな提案を仕掛ける2人に、消費者のライフスタイルやトレンドをどう、マーケティング戦略に落とし込んでいるのか聞きました。

Zebra Japan マーケティング部部長
柘野英樹(つげの ひでき)氏

CM制作会社、広告会社を経て、2004年にアディダス ジャパンに入社。PR、ブランドマーケティング、リテールマーケティングを担当し、その後、スターバックス コーヒー ジャパンに転職。年間プロモーションの設計・実行から、商品本部コーヒーチームでは新商品のグローバルプロジェクトをリード。2014年Zebra Japanに入社。北欧デンマークの雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン」のマーケティング責任者として数々のプロモーションをリードしている。

ル・クルーゼ ジャポン マーケティング部
PR&ブランドコミュニケーション マネージャー
堀内亜矢子(ほりうち あやこ)氏

マーケティング部創設メンバーとしてIT企業へ入社し、以降約10年間ブランド開発プロジェクトやプロモーションの企画を担当、国内外のブランディング統括・管理に従事。アパレル企業、シェフ/料理家、大使館といったさまざまな業界での経験も豊富。現在は、ル・クルーゼ ジャポンにて広報・宣伝を担うPR、及び包括的なブランドコミュニケーションを統制する。

──"日常の非日常化"という消費トレンドについて、どのように捉えていますか。

柘野:「フライング タイガー コペンハーゲン(以下、フライング タイガー)」はデンマーク発のブランドで、デンマーク語の"ヒュッゲ(hygge)"という考え方を大切にしています。これは、「人と人がつながることで生み出される、温かく居心地の良い時間や空間」という意味なのですが、今、欧米でも大きなブームになっているようです。

この"ヒュッゲ"と"日常の非日常化"は親和性が高いと思いますし、これから日本にも大きな波がやって来るのではと見ています。昨年、「ホームパーティー」「DIY」「カジュアルギフト」など、毎月切り口を変えたキャンペーンを仕掛けてきた中で、「ホームパーティー」が最も反応が良かった。このトレンドと"ヒュッゲ"の考え方を組み合わせることで、フライング タイガーならではの提案ができるのではと考えています。

堀内:ル・クルーゼは、むしろトレンドに乗っからせてもらっている感じですね。鍋のブランドとして、元々"食卓を皆で囲む"という習慣を大事にしているのですが、キッチンや食卓が主な使用シーンだったル・クルーゼの鍋を「屋外に持ち出そう」という試みを、実はお客さま主体で始められていて。

昨年、「グランピング」が流行して、女性がキャンプをする機会が増えたことも背景に、"インスタ映え"するル・クルーゼのアイテムを外で使ってみよう、という流れが生まれたようです。カラフルな鍋があると確かに写真映えしますし、場も華やぎますからね。とはいえ、ブランドとしては「高級感」のイメージをあまり損なうことのないよう、「おしゃピク」のようなトレンドワードは、ブランド主体の発信においては控えめにしています。

柘野:フライング タイガーでは、そうしたトレンドワードを積極的に使っています。おかげさまで、PRでの露出がコンスタントに確保できているので、それを通じて「ホームパーティーといえばフライング タイガー」と想起してもらえるよう、流行のワードには乗っかっていく。

世の中の動きを踏まえて、ブランドが発信すべきキーワードは何かを常に考えていて、なければ自分たちでつくることもあります。ソーシャルメディアで話されている言葉や話題をウォッチして、次に"来る"テーマを見極め、SNSで発信するハッシュタグにまで落とし込むこともあります。

──そうした方針は、日本独自で判断していますか。

柘野:商品開発は100%本国で行っており、日本に合うアイテムをセレクトして販売していますが、コミュニケーション活動に関しては日本独自の取り組みが主流です。僕が入社した2014年頃は、まだ本国のレギュレーションがかなり厳しかった。

しかし、デジタルに加えて、リアルでのコミュニケーションの重要性をグローバルでも強く意識しており、そこではローカルのカルチャーや消費者意識に合わせた戦略・施策が必要と理解されているので、最近では僕たちの提案を認めてくれています。

堀内:鋳物ホーロー鍋はすべてフランスで製造していますが、日本は世界第2位の売上シェアを占めるということもあり、大きな裁量が与えられていて、日本独自のアイテムやカラーを提案すると受け入れてもらえる環境ではあります。

柘野:フライング タイガーは、本国が毎シーズン5つ程度のコマーシャルテーマを設定し、それに沿って商品開発が行われ各国はその商品ラインアップの中から、自国に合ったものを販売します。

過去の販売実績に基づいてアイテムを選びたいMDと、今のトレンドに即したアイテムを選びたいマーケティングとの間で方針をすり合わせ、日本における販売商品をセレクトし、それに基づいてプロモーションの方針を定めます。商品が持つテーマ、コンセプト自体は変えられないので、「伝え方」を変える。編集力が問われるところです。

──実際、店頭での動きが顕著な商品はありますか。

柘野:カラフルでデザイン性のあるアイテムが高い評価を得ています。中でも今はパーティー関連のカテゴリーが絶好調です。北欧発のブランドということもあり、デザイン性の高さに期待されているお客さまが多いんです。どこでも買えるような紙コップより、フライング タイガーの紙コップを使ったほうが、素敵な空間・時間が演出できそうだ、と。

堀内:フライング タイガーさんと同様、ル・クルーゼも、一目で「ル・クルーゼの鍋だ」とわかるデザインが強みです ...

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