大規模な自然災害や泥沼化する内戦、感染症や貧困による負の連載など、世界では、さまざまな問題が起こっている。しかし、多くの人は、そうした海外の窮状をディスプレイ越しに見ても、一時的に気持ちが動くことはあれど、何かしらの行動を起こすことはそう多くない。
今、人々の共感を呼び起こし、人を動かすツールとして注目を集めているのが、VR(仮想現実)だ。2012年に設立されたスタートアップ・RYOTは、シリア内戦やネパール地震の被災地、エボラ出血熱が猛威を振るった村など、数々の現場に赴いてVR動画を制作。国際映画祭でも数々の賞を受賞している。
RYOTのCMO・共同創業者、モリー・スウェンソン氏は、「VRは、これまでにない感情移入・共感を生み出し、国際問題を身近に感じられる機会を提供することができます。それは人を動かし、寄付を募るうえでも効果を発揮します」と語る。
例えば、ネパール地震のVR動画では、ヘッドセットを付けた視聴者は、瓦礫の中に立ち尽くすことを経験し、被害のスケールの大きさ、深刻さを感じとる。それは、2次元の動画やテキストメッセージが伝える「情報」ではなく、臨場感のある「体験」となり、人々の感情を突き動かす。
モリー氏は、「RYOTは抑圧されている人たち、声なき人の声を届けるために、設立されました。最初は、VRをビジネスにすることは考えていませんでした」という ...
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