宣伝会議主催の視察ツアーにも、広告会社・制作会社の方が多数参加しました。アート×テクノロジーの祭典で見聞きし学んだことを、広告の実務の現場でどのように生かそうと考えているのでしょうか。参加者3人にレポートしていただきました。
日本企業と海外企業の違いは「技術力」ではない「社会・顧客に与えるインパクト」への意識
SXSWで出会った企業の、発想や哲学にインスパイアされた視察だった。当初の視察の目的は、自身の仕事の現状と、世界の最先端の差を知ること、そしてそこから革新を学ぶことだった。だが実際に来てみると、日本企業と海外企業の技術力自体には、大きな違いはなかったように思う。
一方で、SXSWで光っていた企業はいずれも、社会にインパクトを与える事業の構想を持ち、それをテクノロジーを使っていかに実現していくか、という点に注目していた。もちろん革新的な技術自体で目立つ企業もあったが、大事なことは次の3点だと感じた。
(1)技術を通じて実現したい社会のビジョンが明確であること
(2)自社の持っている技術力が社会や市場に提供できる価値が語れること
(3)新旧の技術を組み合わせ、構想を実現させるアイデア
テクノロジーそのものは、ある程度普及するとコモディティ化してしまう。だからその際、私たちがその企業と仕事をするかどうか決める動機になるのは、技術力そのものではなく、技術がもたらす本質的な価値・ストーリーだ。
同時に、同じことは私たちの仕事においても言える。技術先行で考えるあまりに、ユーザーに提供すべき体験価値を見失っていないか。それで正しくビジネスゴールを達成できるのか。常に顧客や市場目線を忘れずに、ユーザーの体験をデザインしていくことは難しい。
SXSWでは、自身に必要な視点をさまざまな角度から気づかせてもらうと同時に、実行アイデアのヒントを多く得ることができた。さらに点と点をつないで線を描くように、得た情報やヒントを立体的に理解し、自分に落とし込むことができた背景には、視察ツアーでの解説講義や、他の参加者との議論があった。これを学習だけに留めず、日々の業務に生かし続けていきたい。
今後5年間のグローバル市場の動きを垣間見ることで広告会社として求められる機能・役割を自覚した
今あらゆる企業に、新しい事業・収益の確立が求められている ...