スマートフォン向けリワード(クーポン)広告プラットフォーム「Kiip」を提供する米・Kiip社。創業者兼CEOであるBrian Wong氏は2010年に19歳でKiip社を起業した米国でも注目される若手起業家の一人だ。現在Kiip社はデジタルガレージの子会社であるCGMマーケティングと日本国内における独占販売代理権を締結しており、日本でのビジネス拡大を目指す意向。来日したBrian氏にKiipの独自性、また日本での戦略について話を聞いた。
ゲームを始めとしたアプリの起動中にゲームのステージをクリアする、ハイスコアを出すなどアプリ側で規定した目標値に到達した際、クーポンやサンプル、プレミアムコンテンツなどの広告を配信する「アチーブメント広告」。Kiip社はこの「アチーブメント広告配信」プラットフォームを運営している。
—Kiipの独自性はどこにあるか。
ユーザーが目標値に到達した際、達成感や幸福感が芽生える。この「アチーブモーメント」をネットワーク化したのがKiipだ。ユーザーはいつも通りアプリを使うだけ。クーポンが配信されることを知らないから、驚きと喜びがある。クーポンを目的に行動をさせるのではないところに、Kiipならではの独自性がある。
現在世界で1000以上のアプリがKiipを採用している。その内、ゲームが約400。それ以外はタスク管理や料理などで、この領域での連携アプリをさらに増やしていきたい。
—広告はどのように配信されるのか。
ユーザーに配信する広告・特典は物理的なものとバーチャルなものの2種類がある。前者が割引やサンプリングのクーポンで、後者はデジタルコンテンツなどをその場で配信するもの。ユーザーはアチーブメント広告が配信された際、受け取るか否かを判断して、受け取る場合にはメールアドレスなどの入力をすることになる。
広告コストはユーザーがクーポンを受け取った際に発生するパーエンゲージメント単位で算出しており、米国では1エンゲージメントあたりの価格が30セントから3ドルくらいと幅がある。日本だと1エンゲージメントあたり200円~250円程度になると思う。
現在のスマートフォン広告は露出過剰で、これではユーザーが広告を無視するよう教育しているようなもの。「おめでとう」と言われて不快に思う人は、そうそういないし、Kiipではエモーションに訴えかけるコミュニケーションデザインを提案していきたい。
—日本での導入実績は?
今年2月、ローソンとマルチメディア端末「Loppi」を活用したO2O施策を実施した。同社の商品の無料クーポンをアチーブメント広告として配信。取得したユーザーは、ローソン店内に設置された「Loppi」と自分のスマートフォンを使い、店頭で利用できるクーポン券に引き換えることができるというものだ。7月には「Yahoo!JAPAN アプリ」のプロモーションにも導入された。
国別セッションを見ても、日本からのトラフィックが増えており現在、月間で約1100万の月間ユニークデバイス数に達し、日本市場のこれからに期待を寄せている。
特に日本ではO2Oに対する関心の高さを強く感じるので、流通企業での利用に可能性があると思う。ローソンの白井明子さん(取材前日に、スマートフォン時代の O2OビジネスをテーマにしたセミナーにBrian Wong氏と共に登壇)は、同じようにクーポン配信に活用したLINEと比較して「LINEはマス・リーチに優れているし、Kiipはターゲティング機能、さらにユーザーとの1対1のコミュニケーションに強みがある」と、その特性を解説してくれた。日本の企業の利用も促進していければと考えている。
Brian Wong氏18歳でブリティッシュ·コロンビア大学から学士号を取得、19歳の時にKiip社を創業した。Kiip社は「フォーブス」の「the 4 Hot Online Ad Companies」、「ダウ・ジョーンズ」の「FasTech50 List」にも選ばれている。 |
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