新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
オーソドックスながら
大技&小技のテクニックを
駆使することで結果を獲得!
今回は広報巧者であるハウス食品グループ本社のリリースを紹介します。メディアに注目されにくい案件の参考になると思うので、ぜひご覧ください。
同社はカレーの国内シェアナンバーワン企業として有名です。「バーモントカレー」「ジャワカレー」「こくまろカレー」の三大ブランドは、みなさんも一度は調理したことがあるのではないでしょうか。その流れに続く約10年ぶりの新ブランドとして2023年に発売したのが、「X-BLEND CURRY(クロスブレンドカレー)」です。
カレーの世界では、2017年頃からスパイスカレーブームが巻き起こりました。カレー好きの人たちがスパイスを駆使したオリジナルカレーで開業し、話題を呼ぶケースが次々と生まれました。スパイスをホールのまま使用したり、スパイスそのものを調理したりと、際立ったスパイス感が特徴です。
これは、あくまで外食でのブームでしたが、コロナ禍により自宅でもスパイスカレーをつくる動きが起こりました。「市場調査の結果、家庭でのスパイス購入金額が、コロナ前の130%以上に伸びていました。需要の大きさを感じたことが、約10年ぶりの新ブランドを誕生させる決め手となりました」と話すのはハウス食品グループ本社広報・IR部広報課の青木友香さん。
スパイスの原料選定や風味検証の試作を3000回以上重ね、ようやく納得の味わいを実現したというこだわり。2023年8月に甘口と中辛を発売した際は記者発表を実施し、リモートも含めて約30媒体が参加したそうです。
「スパイスカレーのブームを感じる記者の方も多く、10年ぶりの新ブランドに対する期待を覚えました。会場参加の方には試食もしていただき、これまでのルウとは違うスパイスフルさを味わっていただけた手応えがありました」と同部の広報課長・竹下光さん...