新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
定番の新製品リリースこそ訴求ポイントと見せ方へのこだわりが重要に!
今年4月に入社し、広報に配属された人もいると思います。そんな人たちに向けて、今回は最もつくる機会が多いオーソドックスな新製品リリースを解説していきます。
テキストは、シロカの卓上調理家電「おうちいろり」のリリース。卓上調理家電というと、ホットプレートやたこ焼き器などが思い浮かびますが、この商品は焼き網、深皿、ボールプレート(土鍋、蒸し皿が付属のセットもあり)がついていて、さまざまな料理を調理することができます。
2023年12月1日の発売に対して、開発は3年前の2020年から。同社でも長い時間をかけた注力製品です。「プレート類はそれぞれ素材が違い、温まるまでの時間も違うので、検証に時間がかかりました」と経営企画室ブランドマーケティンググループ・PR担当リーダーの佐々木朱音さん。
コロナ禍には家族も別々に食事をするような個食化が進みましたが、状況が落ち着けば皆で食卓を囲む時間が大切になると考え、囲炉裏をモチーフに。私はこの商品名がヒットのひとつの要因だと考えます。
当連載でもよく指摘しますが、家電製品は型番だけで名前のない製品が多いのです。けれど消費者にイメージを与え、親しみを持ってもらう意味でも商品名は極めて重要といえます。
他にも「すばやきトースター」や「おりょうりケトルちょいなべ」など、特徴的な名前が多い同社の製品は、企画、開発、ブランドマーケティングの各担当者と社長がネーミングのアイデアを出し合い決定する場を設けているそうです。
付属のレシピブックにも力を入れました。社内にレシピチームがおり、焼き網から土鍋まで一連のプレート類を使った料理を考案した力作です...