住友生命、東レ、パーソルキャリアが登壇
企業横断ディスカッションで成功事例共有
イベント企画制作を手掛けるタノシナルは、社内イベントによる「伝え方改革」をテーマに、企業横断ディスカッションを開催。住友生命、東レ、パーソルキャリアの3社が参加し、社内イベントのこれからについて議論した。
働き方が多様化し、転職もあたり前となる中、トップダウンの情報伝達だけでは、社内にミッション・バリューや経営方針が浸透しにくく、社員の力を存分に引き出すことが難しくなってきている。いま社員に対して、どのようなアプローチが有効なのか。
2023年12月にタノシナルが主催した「企業横断ディスカッション」では、社内イベントで「伝え方改革」に挑む担当者が集まった。住友生命保険 ブランドコミュニケーション部 部長代理の中村博和氏、東レ コーポレートコミュニケーション企画推進グループ主部の勝野裕士氏、パーソルキャリア 人事本部 組織・人材開発部エンプロイーリレーションズグループ アシスタントマネジャーの西村麻美氏が登壇。3社の社内イベントの企画制作を支援するタノシナル代表の福島ツトム氏がファシリテーターを務めた。
「楽しさ×本音が伝わるイベントや動画」で変革
経営層と社員の距離の縮め方については、東レのライブ配信イベント「REALTALK」の事例を共有。まさに「現場からのリアルな声」を社長に直接ぶつけるというワクワクとドキドキが同居するイベントだ。懐疑的な上層部もいたが、開催後は、現場発信の意見が活発に出るようになり、社長や経営層と従業員の距離感が短くなったという。
またパーソルキャリアは、社長が役員に「お年玉Q」を贈るという新年の挨拶動画を紹介。年初め全社に配信される動画は、社長からの「落語のなぞかけ」や「早口言葉」といったお題に役員が挑戦、その後、戦略キーワードを発表するというユニークなもの。経営陣の楽しい雰囲気が伝わる中、方針を発表することで、全社員に自由度の高い社風を実感してもらえているという。福島氏は「楽しさと本音が伝わることがキーワード」と指摘。若い世代は、会社の受け止める器量を重視していて「会社の柔軟な姿勢や器の大きさを感じさせるものが重要」と強調した。
「台本なしの密着映像」に大きな共感!
全社員参加のイベントについては、住友生命のオンライン全職員総会「ブランド・ライブ」を共有。全国約4万3000名の職員を主役に据え、対面・中継・チャットを駆使してリアルタイムで意見交換をしていくというもの。その中で放映した映像は、あえて台本なしで様々な職員に密着、「何のために働いていますか?」と問いかけ、自身の「働く」について改めて考えてもらうという斬新なドキュメント企画だ。本音を話しやすいよう小型カメラで撮影、日々の仕事に対するジレンマや将来への不安などを率直に語る様子を描いた。葛藤をかかえる中、奮起して毎日の業務に頑張る姿は、視聴した職員たちの間で、大きな感動を呼び、これまでにない一体感が生まれたという。
2021年の立上げから「ブランド・ライブ」の企画運営をサポートしている福島氏は「当初、社内イベントは“経営層からの方針を一方的に伝えるもの”という考え方をお持ちでしたが、この数年で大きく『伝え方改革』への意識が進み、職員のみなさんが生き生きと働けるなら、一歩も二歩も踏み込んだ意見も取り上げ、それを経営層も巻き込んで考える、という姿勢に変わりました。私たちも驚きの変革です」と語る。「台本なしの映像制作」「笑いと戦略の共存」といったインナーブランディングでは型破りな発想をはじめ、いま、多くの企業が、社員のココロに本当に火をつけられる新たなアプローチの重要性を感じている。
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