牛の尿から独自技術で消臭液をつくり、販売している環境大善。同社では2018年から5年以上にわたるリブランディングを行っている。この長期間でのリブランディングは、どのような計画のもと実施されたのか。代表取締役の窪之内誠氏に聞いた。
DATA | |
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企業名 | 環境大善 |
設立年 | 2006年2月 |
従業員数 | 25名 |
リブランディングプロジェクトの体制 | 代表取締役+専務取締役(知財・財務戦略担当)+マーケティング室長+外部パートナー |

北海道北見市で2006年に創業した環境大善では、多くの酪農家が処理に困っていた牛の尿を買い取り、それを分解した液体を独自の技術で精製してつくる消臭液「きえ~る」シリーズや、液体たい肥「土いきかえる」などの商品を展開している。同社では2018年から現在まで、長期にわたってコーポレート・プロダクトの両者を含むリブランディングプロジェクトを実行中だ。リブランディング実施前の2018年1月期と比較すると2023年6月期の売上高は約70%増加しているという(通年換算)。
リブランディングを検討し始めた当初は、「きえ~る」単体のリブランディングを検討していたと代表取締役の窪之内誠氏は話す。
「『きえ~る』は、私の父の代に誕生した商品です。独自性のある商品ではありますが、商品とともに顧客の高齢化も進み、いずれ売上も減少していくという危機感がありました。また、商品の原料は牛の尿であるため、“汚い”“臭そう”といったマイナスイメージを持たれる可能性があることも課題でした。当時『きえ~る』の売上は右肩上がりではありましたが、実際に売上の減少などに直面してからでは、費用や時間を十分にリブランディングプロジェクトに費やすことができないと考え、このタイミングでの実施に至りました」(窪之内氏)。
「きえ~る」のリブランディングのため、外部のクリエイターを探していた窪之内氏は、同時期に中川政七商店の中川会長の書籍を読み、企業のビジョンに基づくブランディング論を学ぶ中で、「きえ~る」のリブランディングに留まっていてよいのかという疑問が生じていた。そんな時に出会ったのがアートディレクターの鎌田順也氏だった。「最初に相談をした際...