サイトリニューアルにあたり課題となるのは、組織内の合意をどのように得て方向性を決めていくか。学園創立70周年のタイミングでサイトを刷新した日本福祉大学では、ユーザー体験を調査する「UXリサーチ」が、プロジェクト推進の拠り所になったという。
編集協力/ボーダーリズム
2023年3月末、日本福祉大学は12年ぶりにサイトのフルリニューアルを行った。これまでマイナーチェンジは続けてきたものの、ページ数が大幅に増えユーザーが欲しい情報にたどり着けていない、という課題があった。2023年度は学園創立70周年イヤーでもあり、周年事業の一環として特別予算を確保。サイトリニューアルのプロジェクトを始動した2022年度は、第1期として導線の整理に注力した。
欲しい情報にたどり着く導線
「ホームページは、見れば大学の全てが分かる辞典のような役割を果たします。ただし情報を単に並べただけでは取り出しにくいものになってしまいます。リニューアルで意識したのは、ユーザーが欲しい情報をストレスなく的確に適切に探せることでした」と学園広報室長の榊原裕文氏は話す。
サイトの最終ゴールは「福祉・医療について知りたい、学びたい」と思った時、まず想起してもらえるサイトになること。サイトに訪れるのは、受験生、在学生、教職員、メディアなど幅広いが、リニューアル第1期では、進学希望者とその意思決定にかかわる人(高校生、保護者、社会人)に対して、大学の特長が分かりやすく魅力的に伝わる導線の整備を目指した。
UXリサーチで方向性が明確に
大学全体のブランディングに携わる外部パートナーと共に、ウェブ制作会社を決定した後まず着手したのは、サイトにおけるユーザー体験(UX)の調査だった。サイト内での行動データ分析や職員へのヒアリングに加え、入学したばかりの1年生を対象にGoogleフォームでアンケートを実施。授業中に教員からもアナウンスしてもらい、全体(通学課程)の4割にあたる480人から回答を得た。

入試区分やエリア、第一志望かそれ以外かなどでセグメントを切り...