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大学広報ゼミナール

関心を促すリアルなコンテンツマーケティング

鈴木洋文(高崎商科大学)

教育界では今、予測不能な時代(VUCA)への対応が課題となっています。知識偏重の教育では、時代の変化に対応できません。興味関心を湧きたたせ、課題発見と解決を考える「探究教育」は重要なキーワードです。

探究を促す授業を高校生が体験

そんな中、近隣の高等学校から探究授業の打診がありました。そこで、「電通アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」所長でコピーライターの倉成英俊さんにご協力いただき、高大社連携による「キャッチコピーワークショップ」を行いました。コピーライティングの基本は、「What to say(何を伝えるか)」と「How to say(どう伝えるか)」。まずは、解決すべき課題を考え、伝えるべき本質を見つめることが必要です。この連携授業は探究教育として理にかなっていると言えます。

ほかにも、倉成さんが手掛ける、いいタイトルの本だけを集めたウェブ書店「good title books」とのコラボでは、図書館を会場とし、高校生も参加できるワークショップを行いました。

さらにスピンオフ企画では、日本古来の“粋”という気質を表現する、“生粋-namaiki-”プロジェクトを主宰しているクリエイターの鈴木舞さんにご協力いただき、組子細工の書棚“GOOD RACK”も完成。“GOOD RACK”を通じて、高校生を含む参加者たちの豊かなコミュニケーションが生まれました。

モノは“非言語コミュニケーション”だと鈴木さんは言います。広報は、コミュケーションを旨とした課題解決の活動です。言葉、ビジュアル、プロダクト、イベントと多様なコミュニケーションで課題は解決できます。“コミュニケーション=ビジュアル・言葉でメディアを通じて伝えるものだ”という固定観念を取り払えば、たくさんの可能性が見えてくるでしょう。

この図書館企画は、「課題発見」と「解決」が循環する、「探究教育」の“学びのスパイラル”に焦点をあてたリアルなコンテンツマーケティングとして、広報担当者が実施したものです。ユニークなタイトルから本を選んだり、カラフルで様々な形の組子で本棚を考えたり、そんな柔軟な思考を持つ人材を育てたいというポリシーの訴求活動でもありました。

世情から、コンテンツを提供する手段(コミュニケーション)=インターネットという構図が脳を支配してしまいそうになるかもしれません。しかし、コンテンツマーケティングはウェブ施策だと勘違いせず、リアルでも可能であることを認識すれば広報活動の可能性が大きく広がるでしょう。

組子の書棚“GOOD RACK”を組み立てるワークショップの様子

受験意欲を高める段階的な...

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