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大学広報ゼミナール

生まれ変わる広報 PRにおけるDX推進

鈴木洋文(高崎商科大学)

大学や高校といった教育広報の世界には、学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(通称 GKB48)というグループがあります。同グループの活動は、全国各地の先生方や教育に従事する職員間のネットワークをつくり出し、SNSを通じたつながりは今や2000人を超えています。

事務局を運営するシンクアップの山下研一氏と栗原直以氏は、元大学の広報担当者です。このお2人は、大学教育の在り方を考える中で、教育を受ける子どもたちと大人とでつくり出す豊かな未来に向けより広い視野からできることはないか、と大学という枠から飛び出すことを決意。2017年に独立されました。

私は、2021年に同グループが主催した「コロナ共生時代の大学広報を考える」というオンラインセミナーで、トップバッターとして講師を務めました。タイトルは「D・N・DとDX‐広報戦略の本質とは何か‐」。プライベートで体験したDXについての印象的なエピソードをお話ししました。

とある真夏の暑い日、伸びきった庭木の剪定をしている私のもとに、スーツ姿の女性が歩みより、蓄電池に関する説明を始めました。我が家の屋根に乗るソーラーパネルを見て、この家はチャンスがあると飛び込んできたのでしょう。その時の私の関心ごとは目前の庭木にいる毛虫です。作業も忙しかったため、少し乱暴に断ってしまい、後味が悪かったことを覚えています。その後、このミスマッチを防げなかったのかと考えた時に脳裏をよぎったのは、ディスプレイ広告です(図1)。

図1 DXで情報伝達のミスマッチを防ぐ
やみくもに歩いて営業を行うよりも、自社の商品やサービスに興味を持つ人を狙ってディスプレイ広告などで情報提供を行ったほうが、より高い費用対効果が期待できる。また、ミスマッチ解消や人件費削減にもつながる。

蓄電池に興味を持つ人に直接情報提供すれば、うだるような暑さのなかスーツを着込んで、しらみつぶしに飛び込み営業する必要はなかったのではないでしょうか。営業にかかる人件費よりも安価な広告ならば、費用対効果の向上も見込めます。

デジタルマーケティングを理解しない経営者は、足を使った営業活動が絶対的であると思い込んでいるのかもしれませんが、2021年時点で全国のインターネット利用率は82.9%です(総務省「情報通信白書」より)。年齢層や地域により格差があるとはいえ、コミュニケーションの手段が変わったことは否めません。

デジタルマーケティングは経営者にとってメリットのありそうな話ですが、その裏側には広報活動の末路が見え隠れしています。

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