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目的の明確化で効果測定を見直す

BtoB事業の認知向上へ 企業イメージ調査でKGI設定

中村祐理氏(山善)

専門商社の山善では、事業の認知向上とブランディングへの寄与に広報・IR室が挑んでいる。家電メーカーとして捉えられがちな企業イメージの脱却を目指し、2021年からオウンドメディアの発信も開始した。

事業認知の向上を目指し発信するオウンドメディア「山善 BASE CAMP」。あらゆるステークホルダーに向けた記事を配信する。学生向けの記事は「山善 BASE CAMP for Recruit」という特設ページにまとめられている。

戦後、山善工具製販として創立した山善(本社・大阪)。現在は、工作機械や産業機器などの「生産財」と、住宅設備機器や家庭機器などの「消費財」を扱う専門商社として、15カ国・地域で事業を展開する。

一方、家具や家電など山善オリジナルの一般消費者向けPB商品も展開していることから「一般向けには、家庭機器をつくっているというイメージがあります。広報・IR室では、生産財と消費財の双方の事業認知度を上げることをKGIとし、企業ブランディングに寄与することを目指しています」と広報・IR室の中村祐理氏は話す。

ニュース要素と発見要素が肝

同室では、室長を含め6人のメンバーでメディアリレーションや社内広報、IRなどの役割を分担。広報業務3年目の中村氏は、社内報や新商品リリースのほか、社員インタビューを掲載するオウンドメディア「山善 BASE CAMP」も担当する。社員の言葉で山善の情報を発信しており、最近では、学生向けに配信した、生産財部門で出産・育休を経て活躍する女性社員の記事が好評だった。

オウンドメディアのKPIでは、ユーザー数やPV数のほか、平均エンゲージメント時間も指標として見ているという。

「記事をまとめる際には、ニュース要素や、へぇと思ってもらえる要素を入れ、論理立てて伝えることを意識しています。これは広報担当者養成講座(宣伝会議)で学んだことで、リリースや社内報など、どの広報業務でも共通して、必要だと感じています」。

パーパスは活動の軸に

同社は、2022年4月にパーパス「ともに、未来を切拓く」を制定。広報・IR室も策定プロジェクトに一部メンバーが参画し、浸透活動も担っている。

「社員やどの部署にとっても、判断と行動の基軸となるのがパーパスです。広報は社会との懸け橋ですので、広報の私にとって、パーパスにある“ともに、”は、会社と世の中、両方を指していると捉えています。会社と社会のどちらもが“未来を切拓く”ための情報を発信していきたいと思いますし、世の中の情報も社内に還元して、双方のより良い未来をつくるためにコミュニケーションをしていきたいと思っています」。

企業イメージ調査を活用

先述したKGIは2020年3月に実施した企業イメージ調査をもとに設定している。調査では「山善を知っているか」「事業内容を知っているか」といった項目や、「誠実なイメージがあるか」などを質問した。

「調査の結果を見ると、年齢が高い層の方には、生産財事業も知っていただいていたのは発見でした。1970年代に放送されたテレビドラマで創業者の山本猛夫が物語のモデルになったこともあり、やはりメディアの影響は大きいと感じています。今後も調査を続けることで、認知度に変化が生まれていれば、広報の成果を示すことにもつながりますし、そこからさらなる施策に結び付けていければと考えています」。

山善
経営管理本部
経営企画部 広報・IR室
中村祐理氏

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