企業価値を維持、創造していくための広報活動においては、リスクを察知し未然に防ぐことも重要だ。特にソーシャルメディア上での情報伝達はスピードが速く、より迅速な対応が求められている。リスクの観点からの広報成果について考えていこう。
日々のソーシャルリスニングが、早期のリスク発見につながり、ポジティブな評判を生み広報成果につながっている例があります。北関東中心に約190店を展開するスーパーマーケットチェーン・カスミの新業態店舗BLANDEの事例もそのひとつです。
早期の対応が企業価値を向上
BLANDEでは、お客様や従業員のプライバシーの問題などから、店内の写真撮影を禁止しており、それを知らせるポスターを店内で掲示していました。ところが、SNS上でBLANDEの店内写真が一般投稿されており、Twitter利用者から指摘が上がると共に、公式の見解が知りたいという声が届いたのです。
これに対しBLANDEは店内撮影ルールを検討し、条件付きで店内撮影を解禁することをまとめた文書をTwitterで発表しました。そこには「ほかのお客さまのお買物のご迷惑にならないように配慮して撮影する」こと、「投稿された写真が不適切である(例:顧客やスタッフが写り込んでいる)と判断した場合は、投稿の削除をお願いする」ことが示されており、店内で掲示している撮影禁止のポスターは「内容を検討したうえで改めて掲載する」としました。
この対応の速さには好意的な意見が寄せられ「新しい形の買い物の楽しさ、交流の場所を提供いただきありがとうございます」などの声が届きました。この店内撮影ルールの発信は、店舗での顧客体験を広げることになりますし、来店促進にもつながることでしょう。スピーディな対応ができたのは、普段からソーシャルリスニングをし、リスクについて検討する体制が整っていたからだと言えます。

カスミの新業態店舗BLANDE(@our_blande)の公式Twitterアカウントの投稿。Twitterユーザーの声を受け、店内撮影のルールについて発表したところ、「マナーを守って投稿します」「ツイートを見て買うものを決めていたのでありがたいです」「この対応の速さがBLANDEが愛されている理由」といった声が集まった。
口コミの変化を可視化する
同じく店内の写真撮影をめぐる問題において、対応策の発信が遅すぎたことで炎上した企業の例もあります。写真投稿サイトにて、店内の撮影の可否について尋ねられた企業が...