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記者の行動原理を読む広報術

リリースの記事化率をアップする「シカケ」とは?

松林 薫(ジャーナリスト)

プレスリリースの作成にあたっては、記者の目を留めるタイトルや出だしの文章に力を入れるのが定石だが、文章に添えられた写真や図表については、どのような配慮ができているだろうか。記者が記事を制作する現場では、どのような写真や図表が選ばれやすいのかを知り、記事化率アップに役立てよう。

広報担当であれば、新商品などのプレスリリースが記事化される確率を少しでも上げたいと思うだろう。記者の目に留まるよう、タイトルや文章構成については工夫しながら作成しているはずだ。このとき、忘れてはいけないのが文章に付ける写真や説明図。特に新聞の場合、記事を電子版に転載するようになってその重要性が高まっている。

新聞業界では記事に付ける写真やグラフ、説明図(ポンチ絵)など本文以外の要素を「シカケ」と呼ぶ。例えばユニークな新商品を紹介する原稿を書いてデスクに提出すると、「この原稿、シカケもほしいな」などと言われるわけだ。

記事にシカケが必要とされる場面は主に3つ。①文章だけでは特徴や使い方などが伝えにくい ②特集やトップ(その面で最も大きい記事)など文字の分量が多い ③紙面を組んでみた時、そのページに写真が全く含まれなかった場合──だ。

写真はどのように選ばれるか

①は直感的に理解できるはずだが、②と③については少し説明が必要だろう。新聞の場合、現在でも記事は紙に印刷することが前提になっている。つまり、記者が書いた記事はほとんどが新聞の面(ページ)にレイアウトされるわけだ。その作業は「整理部」と呼ばれるセクションが担当するが、整理記者は記事一つひとつだけではなく面全体のデザインを考えることになる。

手元に紙の新聞がある方は、1面から順にめくっていってほしい。写真や図表が全く掲載されていない面があるだろうか。株価面などを除き、必ず1ページにいくつかの写真や図表がバランスよく配置されているはずだ。これは偶然ではなく、整理記者が面の見栄えをよくするために意識してそうしているのである。

裏返すと、整理記者がある面を仮組みした時に写真が全くない場合、デスクを通じて記者に「この原稿に写真を付けられないか」などと相談することになる。そして難しい場合は、他に写真付きの原稿を出せる記者がいないか探すことになるのだ。極端なケースでは、記者はデスクから担当面にシカケが足りないと言われ、写真付きのプレスリリースを探す。つまり、それほどニュース価値が高くなくても、写真の見栄えが良いという理由で記事化されるリリースもあるということだ。

広報にとっては、商品などが「まとめモノ」で取り上げられた場合にもリリースの写真は重要な意味を持つ。

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